原資もハンズオンも
1人で行える量には限りがある
小原氏は、これまでにもエンジェル投資を通じて、投資先にハンズオン(起業家に伴走して深く経営に関わる形式)で起業家を支援するほか、起業家向けオンラインコミュニティの運営なども行ってきた。起業家支援に取り組む理由を小原氏に尋ねると「自分が起業したときには、徒手空拳でスタートアップを立ち上げた。その経験を起業家に伝えたい」との答えが返ってきた。
また小原氏は「リスクを自分で取り、他責にせず、常に前向きで文句も言わずに働いて価値をつくっていく人が、この世の中には必要だと考えている。構造的に、そういう起業家がうまくいってほしいと思っている」とも語っている。
小原氏が、スマートフォンゲーム向けメディア「ゲームギフト」を運営するAppBroadCastを立ち上げたのは2013年1月のことだ。AppBroadCastは、2014年にはKDDIとグローバル・ブレインが手がける「KDDI Open Innovation Fund」などを引受先とした資金調達を実施し、KDDIとの業務提携も締結。2016年4月には、株式をKDDIグループ傘下のmedibaへ売却し、連結子会社化した。
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小原氏はその後、3年ほどエンジェル投資を実施してきている。「エンジェル投資のいいところは、起業家としての体験を共有してもらえること、別の起業家の人生を一緒に歩めることだ」と小原氏は言う。一方で「エンジェル投資では多くの起業家と深く付き合うことができない」とも述べている。
「多くの起業家に出資するには原資がなければならない、ということもあるが、ハンズオンについても1人で行える量には限りがある」(小原氏)
「キャピタルゲインがなければ投資はしないが、それだけが目的で投資しているわけではない。より幅広く起業家の役に立てる方法はないかと、2年ほど前から考え始めた」という小原氏。そこで起業家のオンラインコミュニティ運営を始めてみたが、「コミュニティだけでなく、物理的に起業家の課題を解決するプラットフォームを提供したい」として構想したのが、今回のStartPassだという。
コミュニティ機能に加えて、起業のヒト・モノ・カネに関する課題を解決するサービスを提供する事業会社やVCにも参加してもらっているのは、このためだと小原氏は説明する。「(コミュニティ、ツール、投資家の)3つの価値を総合的にプラットフォームとして提供していければ、コミュニティオーナーが属人的に対応するというだけでなく、幅広く起業家の役に立てるのではないかと考えた」(小原氏)