ライオン 黒川博史さん、藤原優一さん、菅野浩さん、百合祐樹さん、岩崎彩佳さん、山下恭平さん左から、ライオン 黒川博史さん、藤原優一さん、菅野浩さん、百合祐樹さん、岩崎彩佳さん、山下恭平さん Photo by Mayumi Sakai

ライオンは、12月8日、生成AIと検索サービスを組み合わせた「知識伝承のAI化」ツールを開発中だと明かした。100年以上にわたって蓄積されてきた膨大な社内データの中から必要な情報を短時間で取得し、生成AIが分析・評価した結果を簡潔に表示する。すでに研究開発領域での検証を終え、2024年6月までの実装を検討中だという。生成AIで研究開発はどう変わるのか。プロジェクトをリードするデジタル戦略部と研究員に、それぞれの思いを聞いてみた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

生成AI活用が進むと、
社内情報を知り尽くした生成AIが欲しくなる

 ライオンは、今年5月、対話型生成AI「LION AI Chat Powered by ChatGPT API(以下、LION AI Chat)」をグループの国内従業員5000人に向けて公開し、社内コミュニティを中心に浸透を図ってきた。

 ここまでは、以前この連載でも紹介した通りなのだが、社員の間でLION AI Chatの活用が進むにつれて、デジタル戦略部には、「ライオンの社内情報を知り尽くした生成AIが欲しい」という声が寄せられるようになったという。

 デジタル戦略部の黒川博史さんによれば、他の先行企業もこのところ自社に特化した生成AIを求める傾向にあるという。もともと社内情報の整理が行き届いていない部分もあり、欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかるといった課題が顕在化していたところに、タイミング良くクラウド各社から生成AIと検索サービスを組み合わせた提案が始まった格好だ。