具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、組織開発というアプローチだ。『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)では、組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介している。本記事では、組織開発的な観点から職場にありがちな悩みの改善策を著者に聞いてみた。
【お悩み】コロナ禍が落ち着き、忘年会や新年会など、これまでになく会社のイベントが盛り上がっている年末年始。しかし、Z世代と言われる20代の若手社員の中には、イベントへの参加に消極的な方も多いようです。新しい価値観を持つ若手社員とのコミュニケーションのコツはあるのでしょうか。
【回答】忘年会や新年会に頼らない「コミュニケーションの場」を考える
会社のイベントに対して消極的な若手が多いことに不安を感じる管理職の方は多いです。
でも、まずはZ世代というレッテルを使うのはやめてみませんか?
その世代に共通する傾向があることは確かだと思いますが、大きなくくりでは一人ひとりの考え方を理解できないのではないかと思います。
忘年会や新年会は長く日本企業で働いてきた方には、お馴染みのイベントです。
しかし「なぜ、プライベートな時間に会社の人に会わなければならないの?」と思う若手も多いのが事実です。
でも、30代や40代のベテラン社員の中にも同じように感じている人もいるのではないでしょうか。
個人の事情や社会のノーム(規範)が変わっていることに気がついていないと、いままで通りにやっているつもりなのにうまくいかない。そこでコミュニケーションの齟齬が起こります。
従ってこのような出来事は、コミュニケーションのあり方を見直すいい機会とも言えます。
あなたの本音は忘年会や新年会でしか話せないのか
問題の本質は、若手が社内のイベントに参加しないことよりも、忘年会や新年会しか本音を話し合う機会がないことなのではないでしょうか。
このような職場では、「コミュニケーションの場」がうまく設計できていないのかもしれません。
忘年会や新年会に参加するのは当然、という価値観はひとまず横に置いて、参加しやすい「コミュニケーションの場」のあり方について会社のメンバーで話してみることをおすすめします。
メンバーの意見を集約すると、形式的な忘年会とは一味違ったものになるかもしれません。
例えば『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(ダイヤモンド社刊)では、業務時間内に社員の誕生会を毎月おこなった、とある中小企業の事例をご紹介しました。
職場ごとの特性や人員構成にもよるため、同じことがどこでもできるわけではないでしょう。
シフト勤務や、医療現場など、物理的に集まるのが難しい職場もあります。
年代や肩書きを超えた「コミュニケーションの場」は、忘年会や新年会だけでなく、職場ごとに適切なかたちがあるはずなのです。
良い「コミュニケーションの場」を作ることができれば、職場のメンバーと「対話」をすることの価値を感じることができるようになるかもしれません。
(取材・文 間杉俊彦)