一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門つみたて投資枠のやめ時は? 売り方なども紹介!

新NISAで資産の土台作りとして使いたいのが「つみたて投資枠」。投資信託の自動積立の専用口座です。ザイの新NISA本の決定版『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門』から、この「つみたて投資枠」の、“積立中”と“やめる時”についての8つのギモンを解消。「一部売却の時、枠はいくら復活する?」など全般的なギモンに対する細かい解説も紹介! ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんと、Money&You代表の頼藤太希さんの2人のファイナンシャル・プランナーの意見も聞いているので参考にしましょう

積立中の収支確認の頻度や投信の変更はどうする?

積立て中

Q.1 収支をチェックする頻度は?

A 年1回で十分! 配分変更は歳を重ねたら

 基本「ほったらかし」でいい、といわれる積立投資。ですが、本当にそれでいいの? という心配もあるでしょう。しかし頼藤さんは「収支のチェックは年1回で十分」と断言します。投信の積立は数ヵ月の短期間で判断するものではないからです。短期の増減は気にしないようにしましょう。

 深野さんも「自分の誕生日など覚えやすい日に年1回確認すればOK」と話します。ただ、結婚や転職などで家計が変化した時は、積立金額に無理が生じないかという基本的なポイントを再検討しましょう。

 このように基本は頻繁な確認は不要で、商品を変えたり売ったりする必要性も低いです。しかし「年齢を重ねるとともに節目の年齢などでリスクを低くするリアロケーションを行うのはアリ」(頼藤さん)です。

Q.2 積立てる投信を変えたい場合は?

A いつでも変えられる! 売った枠は再利用可

一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門

商品の変更はいつでも可能です。現在の積立投資を停止し、別の投信を積立てるよう設定を変更すればOK。この時、積立て済みの分を売却してしまっても、新NISAなら非課税枠はその分復活します。ただし、復活するのは翌年であり、その年の非課税枠の上限(つみたて投資枠は120万円)は変わりません。上限額まで余裕があるならすぐに売却せず、そのまま運用するのもアリ。

 では、どういう時に投信を変更するべきでしょうか。たとえば同じ指数に連動する投信で信託報酬が安い商品が後から設定された場合。深野さんは「わずかな差なら慌てて乗換える必要はない」と言います。なぜなら、たとえば元の投信より信託報酬が0.05%低い投信が設定されても、長期的に見た場合でもその差は数千円程度に過ぎないからです。

「おおよそ0.1%以内なら気にしなくていい」(深野さん)

 しかし、それより大きな差が開く投信が登場したら、変更を考えるのもアリです。こうした心配をしたくない人は、「信託報酬が安い他の投信が後から出たら、その水準に信託報酬を引下げると表明しているeMAXIS Slimシリーズを選ぶのが無難」(深野さん)でしょう。

Q.3 途中で金融機関は変更できる?

A 乗換可能だが口座の「分裂」はデメリット

一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門

変更はできます。ただ、変更は手続きに最短でも2~3週間かかります。また、基本的に変更先の金融機関で取引できるのは翌年から[*]。さらに、変更前の金融機関の投信は引越しできません。一度売却して変更先で買直すか、口座の管理が面倒ですが「分裂」した2つの金融機関で運用を続けるかを選ぶことになります。

 この時、前の証券口座で600万円投資していたら、新しい口座での枠は残りの1200万円になります。

なお、変更前の金融機関で使った非課税枠は、売却すれば新しい口座で翌年に復活します。

一時的にでも損が出たらやめるべき?
積立の場合は一部売却の時に枠はいくら復活する?

やめる時

Q.4 損が出ていた! やめてもいい?

A 減額や一時停止も可! やめないことが重要

 積立開始直後に含み損が出ることは珍しくありません。ただ、そこで慌ててやめてしまうのはNG。積立は株価の下落時にたくさん買えるため、むしろオトクに買えています。また過去のデータから、多くの場合10年、最長でも20年積立て続ければ元本割れは回避できる可能性が大です。それでも家計が厳しくなるなどの変化があった場合は、積立額の減額や一時停止を検討しましょう。

Q.5 売り時はいつ? どう売るべき?

A ライフイベントで必要な時退職後は定期売却もアリ

 積立てた投信は、いつ、どうやって売るのが正解なのか。深野さんは「唯一の正解はない」と言います。売り時の主な考え方は3つ。1つめは大きな利益が出た時。たとえば元本が2倍になったら、といったタイミングで売却して利益を確定しましょう。自分の「ゴール」をあらかじめ設定しておくと迷いづらいです。

 2つめは、ライフイベント。教育資金や住宅資金などが必要になった時。ただ、この時に相場が有利な状況とは限りません。直前に一度で売るのではなく、「数年前くらいから売り時を計るか、複数回に分けて売却するのが得策」(深野さん)です。

 3つめはリタイア後。ただやはり一度で売るのではなく、「退職後は非課税運用を続けながら、“定期売却サービス”を使って毎月指定日に売却代金を受取ることを検討してもいい」(頼藤さん)でしょう。

その他いろいろ

Q.6 一部売却の時枠はいくら復活する?

A 総額で元本比率を計算しそれを売却額に適用

一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門

 積立てている投信が値上がりして、一部を売却するとします。この場合、いくらが元本とみなされ、翌年に非課税枠として復活するのでしょうか。

 下図は時価総額200万円、元本総額160万円に対して、40万円を売却した例です。まず元本総額を時価総額で割って、元本の比率を求めます。例では時価総額に対し元本80%、利益20%です。この比率を売却額40万円に適用すると32万円が元本とみなされ、枠が復活します。

Q.7 iDeCoとどっちが優先?

A 資金に余裕ができるまでは新NISAを優先

 NISAと同様に、売却益にかかる税金がゼロになる制度にiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。iDeCoは積立てた額がすべて所得控除の対象に。ただ、「60歳になるまで引出せないのは大きなデメリット」(深野さん)。ライフプランが定まっていない若年層は、流動性の低い制度の利用は控えましょう。

Q.8 積立額を増やしたい時は?

A 成長投資枠でも投信の自動積立が可能

 つみたて投資枠で年120万円の非課税枠を使い切った場合でも、成長投資枠を使えばさらに年240万円まで買えます。成長投資枠でも自動積立の設定が可能です。ただ、一部につみたて投資枠専用の投信もあります。