直木賞作家・今村翔吾初のビジネス書『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)では、教養という視点から歴史小説について語っている。小学5年生で歴史小説と出会い、ひたすら歴史小説を読み込む青春時代を送ってきた著者は、20代までダンス・インストラクターとして活動。30歳のときに一念発起して、埋蔵文化財の発掘調査員をしながら歴史小説家を目指したという異色の作家が、“歴史小説マニア”の視点から、歴史小説という文芸ジャンルについて掘り下げるだけでなく、小説から得られる教養の中身おすすめの作品まで、さまざまな角度から縦横無尽に語り尽くす。
※本稿は、『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【直木賞作家が教える】歴史を学べば得をする決定的理由・ベスト1Photo: Adobe Stock

歴史を学んで
得することはある?

私が講演などで歴史の話をすると、子どもたちから「歴史を学んで何か得することありますか?」と聞かれることがよくあります。

子どもだけでなく、大人の中にも「歴史なんて知ったところで、しょせんは過去のこと。終わったことを学んでも意味がない」という人が少なくありません。

でも、これはよくわかっていないというか、何とももったいない発言です。

歴史小説は
“人生のカンニングペーパー”

私は歴史の知識は“人生のカンニングペーパー”だと捉えています。

局面こそ違えど、人はいつの時代も似たような選択に迫られることがあります。

たとえば、「戦場での生死をかけた戦い」と「プロジェクトでの会社の社運をかけた戦い」という違いはあるにしても、どちらも勝負に挑むという意味では似ています。

過去の成功と失敗の
サンプルデータを参照できる

過去の歴史を見れば、自分は少しも特別な存在ではなく、似たような境遇に直面した人は山ほどいます。

そして、似た状況に置かれた過去の人たちが成功したサンプルデータと、失敗したサンプルデータが無数に残されているわけです。

同じような選択に迫られたとき、過去のサンプルデータを参照するのと参照しないのとでは、果たしてどちらが成功しやすいでしょうか。

人生のリスクを
あらかじめ回避できる

勘に頼って選択するより、答えがわかっている状態で選択するほうがいいに決まっています。

つまり、歴史を知っていれば人生のリスクをあらかじめ回避できるのです。

※本稿は、『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。