四川省で起きた大地震の際の美談が
フェイクニュースに
今回驚いたのは、かつて日中友好の象徴ともいえる二つの美談が様変わりしてしまったことだ。
一つは、2008年5月に中国四川省で死者・行方不明者が約8万7000人に上った大地震の際、日本からの救援隊が外国の救助隊の中で、一番早く被災地に到着したことが、当時大きな話題となった。救助活動の中で、命を助けられなかった地震の犠牲者に対し、日本の救助隊員が整列して黙祷をささげる画像や写真はネットで大変注目され、中国人の心に響いて、大きな感動を与えた。
「人民網(中国共産党の機関紙『人民日報』のネットニュースサイト)日本語版」の当時の記事で、日本からの支援や救助隊の活動を称賛する数々のネットユーザーのコメントが紹介されている。
「日本国民が中国人民の苦難をまるで自分のこととし、中国被災者の救援は自国国民の救援と同じだと見なした結果といえよう。このような崇高な人道主義精神とインターナショナリズムに対し、全中国人は十分な敬意で応えるべきだ」
「過去に忘れることができないほどの深い傷を受けたとしても、今回の地震被災に対して日本国民が示した善意を無視してはいけない」
確かに当時、中国のネットでは「ありがとう!日本。中国人民はあなたたちを絶対忘れない」などの感謝の言葉がたくさん上がっていた。ところが今回、この“感動物語”は、「(四川大地震の時)日本の救助隊は、一番早く到着したが、真っ先に行ったのは軍事基地だった。それも道に迷ったと日本側は言い訳している」というフェイクニュースに改変されてしまった。