なぜ手のひらを返したように
日本の悪口を言うのか?
なぜ、以前あれだけ感動し、日本に感謝の気持ちを持っていたのに、ほんの数年たっただけの今、まるで手のひらを返したように、日本を憎み、ののしるのか。
その一番大きな理由は、中国が長年行ってきた歴史教育の結果と考えるのが妥当だと思う。中国人にとって、日本は非難しやすい対象であり、悪口を言うことは「無難」だからだ。こういう背景があるゆえに、ネットで一部の人が過激な発言をすればするほど注目され、アクセス数を稼ぐことができる。また、中国国内にさまざまな事情があり、政府に対して人々の不満がたまる時には、外国の悪口を言うことは、一種のガス抜きと捉えられる。
今、中国の経済は非常に厳しい状況にある。昨年末に上海を訪れた時には、人に会う度に、「すごく景気が悪い」とみんな口をそろえて言っていた。多くの若者が就職できず、とりあえずアルバイトやデリバリー配達の仕事に就いて耐え忍んでいる状態だ。最大の経済都市・上海でさえ、街を歩くと、たくさんの店舗のシャッターが固く閉まったままで、歩行者よりも、デリバリー配達のスクーターのほうが多い光景を目にした。昔の活気を感じられず、人々は「財布のひもを固くしている」と肌で感じた。
だからといって、もちろん、他国の人に降りかかった災いを喜ぶことは、到底許されない。ネットで心ないコメントをする人が目立っているのは確かだが、こういう人たちは決して主流派ではない。日本の震災に心を痛め、応援している人たちがたくさんいても、そういう声はあまり目立つところには出てこないだけだ。
実際、地震発生から1週間以上がたった今は、中国SNSでは「日本、頑張れ!一日も早く復興できるよう心より祈っている」という声が高くなり、「山川異域、風月同天」の文字を目にすることも再び増えてきた。そしてもう一つ、羽田空港の事故に対して批判的なことや心ないことを言う人もほぼいない。称賛する声がほとんどだということも、最後に書き添えておきたいと思う。