航空関係者が注目した事故
重過失でも不起訴に
具体的な例として83年に52人が負傷した北海道・中標津空港の「日本近距離航空(全日空の子会社)機事故」は道警が、93年に58人が負傷した岩手県・花巻空港の「日本エアシステム機着陸失敗事故」では県警が、それぞれ機長と副操縦士を書類送検したが、いずれも不起訴となった。
ほかにも負傷者が出た事故は各地で散発しているが、航空関係者の間では前者は当時の事故調が複数の操縦ミスを指摘し、後者は社内規定に違反する行為があるなど過失が大きいとみられていたため「起訴はあり得る」と検察の判断が注目されていた。
実際に起訴されたケースもある。63年に7人が負傷した「全日空機仙台空港着陸失敗事故」、三重県志摩半島上空で97年に14人が負傷(後1人死亡)した「日航機乱高下事故」は、いずれも機長の無罪判決が確定。特に後者は、当時の事故調が「操縦ミス」と指摘した報告書を司法が否定したと航空関係者に驚きが広がった。
有罪になったケースも皆無ではない。71年に岩手県雫石町上空で起きた全日空機と航空自衛隊の戦闘機が衝突し乗客乗員162人全員が死亡した事故では、盛岡地検が空自機の教官と訓練生を業務上過失致死と航空法違反の罪で起訴した。