「再発防止への教訓」が
最大の供養

 盛岡地裁は教官に禁錮4年、訓練生に同2年8カ月の実刑判決を言い渡したが、仙台高裁は教官の控訴を棄却する一方、訓練生を無罪とした。最高裁で2人とも禁錮3年、執行猶予3年とする判決が確定した。

 2001年に静岡県焼津市沖の駿河湾上空で100人が負傷した日航機同士のニアミス事故では、管制官2人が業務上過失傷害罪で起訴され、最高裁で禁錮1年~1年6カ月、執行猶予3年の判決が確定したが、判事の1人は有罪に反対した上で「本件のようなミスを問うと刑事責任の追及を恐れてミスを隠蔽(いんぺい)する萎縮効果が生じ、安全性の向上を妨げる」と主張した。

 2日の事故ではさまざまな報道がされているが、現時点では容疑者や容疑名は明らかになっていない。ただ、能登半島地震の被災地に救援物資を届けようとした海保職員、安全な航行を心がけた日航関係者、適切な指示に努めようとした管制官らの刑事責任を問うことに意味はあるだろうか。

 原因の究明は必要な作業と思う。しかし、能登半島地震も含めて亡くなった方々に追悼の意を表し、再発防止のために今回の事故を教訓としてもらうことが、最大の供養になるのではないだろうか。