売上が上がらない、いくらコピーを工夫しても全く反応がない。そんな悩める人におすすめなのが、コピーライティングの第一人者・神田昌典氏25年の集大成であり、「この本は100万円以上の価値がある!」と北の達人コーポレーション木下勝寿社長が絶賛する話題の書『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』だ。今回は本書の中から、「圧倒的に売上を上げる人」に共通する訴求法の特徴を見ていこう。

ターゲットPhoto: Adobe Stock

セグメンテーションとは何か

 メッセージを届ける相手をいくつかのグループに分けることを「セグメンテーション」または「セグメント化」という。

 これには大きく2種類ある。

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 ターゲットは絞り込まれているほど、「刺さる」。

 ターゲットごとのLPの数が多いほど、成約率が高くなる調査結果を本書174ページで紹介した。

 7000社以上からベンチマークデータをまとめたアメリカのハブスポット社の調査がある。

ランディングページを10~15種類用意している企業は、10種類未満の企業と比べて、コンバージョン率が55%アップ、40種類を超える企業で500%アップ
(出所:『成約のコード』)

 まず、「1.ターゲットを分ける」場合の具体的なやり方を見てみよう。

 たとえば、起業セミナーを売るケースだ。

 対象となる顧客層が次のようなグループだとする。

●年齢20代前半~50代前半
●男性:女性=6:4

 仕事、趣味、恋愛などに強い関心がある20代前半の女性会社員と定年後のすごし方が頭をよぎる50代前半の男性会社員では、興味・関心もずいぶん違う。

 これをひとまとめにしてLPを書こうとすると、かなり難しい。

 そこで、次のようにセグメント化してみる。

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 もっと細かく分けられる。

 先ほどの調査のように、LPの数が多いのは、細かくターゲットを設定し、それぞれに適切なメッセージで訴求しているからだ。

 そうすると、各LPの各ターゲットに、「自分ごと」と思ってもらえ、成約率が上がる。

 それは間違いない。

 だが、LPを多くつくるには時間も労力もコストもかかる。

 だから、メインターゲット層が大きく異なるグループに分け、LPを別に作成するといい。

 下の左側のLPは「社長なら」で経営者をターゲットにしている。

 一方、右側は「時間と場所に縛られずリモートで働ける!」の部分で副業を含めた個人をターゲットにしている。

 ターゲットをイメージしたプリヘッドの部分とヘッドラインの「AI時代に」の部分だけが違っている。

 ボディコピーも一部齟齬が出ないよう調整しているが、その他の部分はまったく同じだ。

 このように、ターゲット別にLPをつくる場合、全部つくり変えなくても、一部を調整するだけでOKだ。

 次に「2.リストを分ける」場合の具体的なやり方を見てみよう。

 同じく、起業セミナーを売るメールを送信する場合のリストの分け方として、次のものが考えられる。

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 1.の人はかなり関心は高いし、セミナーに参加する心理的抵抗も少ない。

 だから、今回のテーマは何で、どんなベネフィットがあるかをストレートに伝えるのがいい。

 2.の人は、関心はあるものの、具体的な一歩を踏み出せていないので、セミナー参加の心理的ハードルを取り除き、背中を押してあげることが必要だ。

 3.の人は、そもそも起業に関心がない。

 だから、会社員の限界や問題点を認識してもらい、起業に関心を持ってもらうところから始める必要がある。

セグメンテーションでよくある間違い

 セグメンテーションでよくある間違いは、「ただ分ければいい」というものではないことだ。

 メールやLP・セールスレターにしても、セグメント化の目的は、メッセージをターゲットに極力マッチさせること。

 たとえば、上記の「1.過去、別の起業セミナーに参加した人」を、次のように分けたりする。

●「10月1日のセミナーに参加した人」
●「10月20日のセミナーに参加した人」
●「11月15日のセミナーに参加した人」

 各セミナーは内容が違うので、それに合わせてメッセージ内容を変えるなら意味はある。

 でも、よくあるのは、メールのグループだけ分けて全部同じメッセージにするパターンだ。笑い話のように思えるが、これをやる人が意外と多い。

 メッセージが同じなのにリストを分けるのは、単に事務工数を増やしているだけで無駄だ。配信の手間もかかるし、結果を集計するときに手作業で集計しなければならない。

 だから、男女別か、年齢別か、過去に購入した商品別かなど、セグメント化で成功した事例でも、今回のメッセージに対して効果があるのか、必要なのかはその都度判断する必要がある。

 また、ステップメールの箇所でも触れたが、複数回メールを送る場合も、セグメンテーションを使うことで「うっとうしさ」を軽減できる。

 次の例のように分けるのだ。

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 1通目未開封者だけに2通目を送ることで、1通目を見逃した人をとらえることができる。

 メールは1日にたくさん届くので、見落としは出てくる。

 普段は問題ないのに、たまたま迷惑メールに振り分けられることもある。

 そして、「一定の関心があった人=1通目と2通目の開封者」のみに3通目を送る。

 3通目は、締切前日のリマインドだ。

 今まで開封しなかった人が、最終メールで開封して申し込むケースはゼロではないが、何度も送られ、「うっとうしい」と感じるリスクも高い。

 我々はそのリスクを重視しているので、そんな送り方はしない。

 このように、適切なターゲットに適切なメッセージを届けるために必要なのが、セグメンテーションなのだ。

 本書ではセグメンテーションの方法を徹底解説した。ぜひ活用してみてほしい。

(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)