能登半島の鉄道が果たす役割とは
「観光インフラ」「通勤・通学手段」

「のと里山里海号」車両「のと里山里海号」車両 Photo:PIXTA

 次に、のと鉄道を含む金沢駅~穴水駅間の鉄道ルートの役割を整理してみたい。

 まず重要なのが、「観光客を引き入れ、回遊させる」役割だろう。新幹線の延伸により、金沢エリアが首都圏からの日帰り観光も可能となった現在、ローカル線は能登地域に誘客し、和倉温泉や輪島温泉郷に宿泊してもらうためにも欠かせないインフラだ。国土交通省北陸信越運輸局によると、能登地域を訪れる観光客は毎年770万人前後(石川県全体の観光客数の約3割)で推移しているという。

 特に、のと鉄道が貢献しているのが、15年からスタートした観光列車「のと里山里海号」だ。JR七尾線の観光特急「花嫁のれん」に、のと里山里海号をプラスし、輪島朝市や千里浜なぎさドライブウェイといった観光地を巡るツアーはとても人気がある。

 他方、通勤・通学に使う市民の足としての役割もある。やや古いデータだが10年の国勢調査によると、七尾線沿線の羽咋市、かほく市、宝達志水町などから、通勤・通学の1割~3割が金沢市内に向かっている。  

 3社の鉄道路線は観光と通勤・通学、双方の要素を受け持つことで、乗客減少による損失を最小限に食い止めているといえるだろう。