ちなみに、古賀さんの講習に申し込んでくる人の中には、運転免許を取得してから10年以上運転しておらず、昔とは大きく変わったクルマの機能や装備を知らない人が、非常に多いそうです。
また、ペーパードライバーを自認する人には、過去の運転で怖い経験をした、いつも家族や知人に運転をしてもらっていた、クルマが必要にないところに住んでいた――といった特徴があるといいます。そうした経験によって、「運転が怖い」と感じるようになった人がとても多いとのこと。
こうした人たちの大半は、子供や親の送り迎えでクルマが必要になった、仕事で運転せざるを得なくなったなど、必要性に迫られて受講を依頼してくるといいます。ただ古賀さんによると、運転への恐怖はメンタル的な要因が7~8割。最初の恐怖を乗り超えることができれば、受講の理由を問わず、その先のレッスンには楽に進めるそうです。
運転初心者がやるべき
「路上で再特訓」よりも大切なこと
教習所のように区切られたコース内で運転を練習するのとは異なり、出張型ペーパードライバー講習では公道を使って運転の練習をするのが一般的です。ですが、古賀さんは「クルマを動かす前に、基礎知識の復習に時間をかけるべき」だと強調します。
たとえば運転席への座り方や、シートの位置・角度の調節方法。ハンドルの高さ・角度の調節方法や、ミラーの合わせ方。ハンドルの持ち方と回し方も再確認します。ウインカー、ヘッドライト、シフトレバーの操作方法も改めて学びます。
使用するクルマのハンドルにチルト(上下)とテレスコピック(前後)の調整機能が付いていれば、その使い方も復習します。そのうえで、ブレーキペダルの離し方や踏み方を学び直しつつ、強く踏んだときと弱く踏んだときの違いなども学び直していきます。
そして駐車場に目標物を置き、「そこに合わせて止まる」という基本的な練習を行います。10年、20年と運転をしてこなかった人の恐怖心を解消していくためには、運転作業の一つ一つに時間をかけることが大切だからです。