新NISA制度が始まり、資産運用が国民的な関心として広がっている。株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。
本稿前半では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超の資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、株で成功するために必要な考え方を教えてもらった。本稿後半では、特別に『株トレ』から一部を抜粋して紹介する。

「投資はギャンブルですか?」株のプロから意外な回答Photo: Adobe Stock

投資はギャンブルですか?

――これから株を始めようと考えている人の中には、「投資はギャンブルだからやめた方がいい」と言われた経験がある人もいるようです。「投資はギャンブル」という言葉について、窪田さんはどんなふうに捉えていますか?

窪田真之(以下、窪田):もちろん100%勝てる投資は存在しません。ですが、チャートを観察し、勝ちやすいと判断したところでトレードするのは、運に任せてお祈りしながらお金を賭けることとは違います。

『株トレ』では、7割の確率で勝てる「チャートの強いシグナル」を紹介しています。

 この強いシグナルに従ってトレードをしても3割の確率で負けてしまいますが、負けた時はすぐに損切りし、強いシグナルで何度もトレードを繰り返せば、長期的に見て資産を増やせる可能性は高いと考えています。ファンドマネジャーとして、何万回にも及ぶトレード経験から導き出した方法です。

 そもそも、投資を一切せずに現金を持ち続けていることだって、ギャンブルと言ってしまえばギャンブルです。

 たとえば、資産のすべてを日本円で貯蓄している人は、デフレの時はいいかもしれませんが、インフレが続けば現金の価値が目減りしていきます。

 一方で、インフレが起こると株や金(きん)は上がる傾向にあるため、現金以外の金融資産を持っている方が相対的には安全とも言えます。

――投資をせずに現金を持ち続けることにも、リスクはあるのですね。

窪田:価格というのは、すべて相対的な価値です。

 株が急騰している状況では、視点を変えればキャッシュが暴落していると言えます。反対に株が暴落すれば、キャッシュが急騰していると捉えることができます。

 現金であれ債券であれ、何を持っていたってリスクがゼロになるわけではありません。投資で大切なことは、自分なりにリスクをコントロールすることだと思います。

 ですので、これから株を始めようと思っている人であれば、「損しても気にならない金額」から始めるのがいいでしょう。

「お金を失いたくない」という恐怖に苛まれると、正しい投資判断を下すことはできません。

 例えば30万円で株を買うのが怖いと思ったら10万円から、10万円でも怖いという人は5万円から始めてみてはいかがでしょうか。

――「損しても気にならない金額」を自分で理解しておくことが大切なのですね。

窪田:株式投資に限らず、人生は誰もがいろんな場面でギャンブルをやっていると言えるかもしれません。100%上手くいく決断などないのではないでしょうか。

 就職や転職もギャンブルですし、「どこに住むか」もギャンブルです。株式投資も、その中のひとつです。

 問題は、何の準備もせず、戦略を持たないこと。根拠なしになんとなく株を買って、株価を見ながら「上がれ!」とお祈りしている人は、投資で成果を上げることはできないでしょう。

『株トレ』のクイズに挑戦してみよう!

 F社とG社、買うならどっち?

F社とG社、買うならどっち?

【ポイント】逆ウォッチ曲線

 株価が上昇下落を繰り返す時、売買高は次の図のように増減します。

逆ウォッチ曲線逆ウォッチ曲線(株価と売買高の関係)

 タテ軸に株価、ヨコ軸に売買高をとると、反時計回りに動くことが多いので、「逆ウォッチ曲線」と呼ばれます。

正解は……

 買うなら、G社。

 G社には、何か好材料が出ているようです。売買高増加を伴って、株価が上昇しています。

 F社は人気離散。売買高が減少し、株価が下がり始めています。

 F社・G社は、株価・売買高が「逆ウォッチ曲線」にぴったり当てはまった動きをしているチャートの一部です。

逆ウォッチ曲線に当てはまる値動き逆ウォッチ曲線に当てはまる値動き

 安値圏で売買高が増加したところが「買い」、高値圏で売買高が減少してきたところが「売り」と判断します。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)