「メンタルにいい趣味とは何でしょうか」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
趣味で大事なことは?
趣味というのは、基本的には、「あなたの好きだと感じていること」「やりたいと思う気持ち」が最も大切です。
結局のところ自己満足ですので、「あなたが楽しいと思うもの」が最もメンタルヘルスにいい趣味なのは間違いありません。
それを踏まえた上で、メンタルヘルスにいい趣味とは何でしょうか。
それは、「体を動かす趣味」「誰かと一緒に楽しめる趣味」「自然や動物と楽しめる趣味」などです。
たとえば、私の趣味は「料理」ですが、1人で作って楽しみ出した後は、人に振る舞ってみたり、SNSやインスタで料理好きの人と繋がってお互いのレシピや作品を共有したり、繋がりが生まれたことでメンタルの安定を感じます。
あるいは、diccordでサーバーを立てて気が知れた人とだらだらと「ゲーム」をしたり、TRPGを楽しむことで充実した気持ちになります。
時間ができたときには「サーフィン」をしたり、「乗馬」や「柔道」などで汗を流したりします。
新しい趣味を見つけよう
「本気で打ち込めるような趣味がありません」
という悩みをよく聞かれます。
それは、まだあなたが「本当に好きなもの、打ち込めるもの」に出会っていないのかもしれません。
もう一度言いますが、趣味とは「究極的にはその人が楽しむための自己満足」でしかありません。
ネットサーフィンだろうが、マンガだろうが、パチンコだろうが、あなたが自然に暇つぶしとしておこなえるものはすべて趣味と言えます。
ただ、そんな趣味を堂々と他人に言えたり、一種のコミュニケーションツールとして使いたい場合には、ちょっとした努力が必要になるかもしれません。
新しい趣味を見つけるために、アクティビティや興味のあるコミュニティに属してみるなど、動いてみるようにしてください。先ほども述べたように、「体を動かせるもの」がベストです。
「どのくらいから趣味と言えるのか?」という不安を持つ必要もありません。
あなたがやってみたいと思える範囲で十分なのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10〜20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。