定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されました。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
お金をもらってスキルアップ! 公共職業訓練というサービス
定年後、再就職をするために、自分のスキルをアップデートしたいと考える人も多いと思います。そんな人にもってこいのサービスが「公共職業訓練」というサービスです。
不動産ビジネスやWEBプログラマ養成・情報セキュリティ管理者・介護福祉士など、様々なコースが用意されており、失業手当を受給している人が、ハローワークによって必要と判断されると、原則無料で受けることができます(選考試験あり)。
しかし、メリットはそれだけにとどまりません。この訓練を受けている間は、要件を満たすと失業手当の給付期間が延長されるのです。いわば追加でお金をもらいながら、タダで勉強ができるわけです。
仮に、日額7177円、150日の失業手当を受ける予定の人が、受給期間を50日残して、6か月(180日)の訓練を受けた場合。180日-50日=130日で、受講することで130日間、受給期間が延びるので、130日×7177円=約93万3000円も余計に失業手当を受けることができるのです!
他にも、自己都合退職の場合は通常給付制限があるがそれが解除されたり、失業認定日にハローワークに行かなくていい、受講手当が1日500円最大2万円もらえたり、交通費も支給されたりと、非常に手厚い内容となっています。
たとえばAさんは、60歳で会社を退職したあと、失業手当(150日給付日額7000円)を受け取りながら仕事を探していました。
いろいろ調べていくうちに、公共職業訓練の「庭園施工管理課コース(6か月)」の存在を知り、もともと庭いじりが趣味だったこともあり、その方面への転職を希望して、受講を決めました。
受講料は基本無料(テキスト代など多少の自己負担はあり)。しかも、このコースを受講している間(6か月間)は、失業手当の給付を受け続けられるのです。
Aさんは、失業給付の日数が残り60日でしたが、これが6か月間(180日)に延長されるということは、つまり、(180日―60日)×約7000円=約84万円も余計に失業手当を受け取りながら、最終的には、造園会社に就職をすることができました。
失業手当の給付日数が一定以上残っている必要があるので早めに相談!
ただし、これを利用する時には、受講するコースが開始する日に、所定の受給日数が残っていなければならず、コースも開講日が決まっているので、うっかりしていると、条件があわなくてこのメリットが受けられない可能性があります。
興味がある方は、退職前からどんなコースがいつ開講になるのか、条件は当てはまるのか、などをハローワークでしっかり調べることをおすすめします。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。