後悔しない 医療・介護#11Photo:PIXTA

特別養護老人ホーム(特養)は入居を希望する待機者が多過ぎるし、「安かろう、悪かろう」。そう思い込んで、自分や家族の「終の棲家」として検討する際の選択肢に入れていないとしたら、もったいない。看取り実績で厳選した特養788施設リストを9回に分けて大公開する。特集『後悔しない医療・介護』の#11でお届けするのは神奈川県の103施設リストだ。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「新型特養」を選べば
完全個室&手厚いケア

 特別養護老人ホームには、「新型特養」とも呼ばれるユニット型施設がある。国の推奨の下で近年新設されているもので、10人程度の少人数のグループ単位で共同生活できるように介護サービスを提供する。従来型施設と比べると、居室に大きな違いがある(下図参照)。

 従来型施設には個室と2~4人の多床室がある。病院の入院病棟のようなイメージだ。廊下に沿って居室が並び、共有のリビングスペースである「共同生活室」は独立している。

 対してユニット型は全て個室。完全個室と、大部屋を間仕切りした個室的多床室の2種類があり、どちらも共同生活室を囲むように配置さている。

 ユニット型はプライバシーや自宅に近い生活リズムを保ちやすい上に、グループ単位で職員が付くため手厚い個別ケアが提供される。「安かろう、悪かろう」という特養の古いイメージを打ち破るものだが、その分費用は従来型施設よりも高くつく。

 特養入居でかかる費用は、家賃である居住費、食費、介護サービス費(介護保険の自己負担分)、その他の日常生活費(全て自己負担)。このうち居住費と介護サービス費は、ユニット型の方が従来型よりも高い。

 居住費については、2024年度の介護報酬改定により、「基準費用額」が8月から1カ月1800円(1日60円)値上がりする。基準費用額は国が標準的な額として定めたもので、各施設の居住費はこれに基づいて設定される。

 値上がり分を反映した居住費の基準費用額は、ユニット型個室が1カ月約6.2万円、ユニット型個室的多床室は約5.2万円、従来型個室は約3.7万円、多床室は約2.7万円となる。なお特養の居住費や食費は、入居者や家族の所得に応じて負担限度額が設定されている。

 介護サービス費は要介護度が高いほど高額であるのに加え、ユニット型の方が従来型よりも高い。また、介護サービス加算費というものもある。職員の配置を手厚くしたり、看取り時のケアが充実していたりする施設は、介護報酬の加算を取得できる。従って、サービスが充実している施設の入居者はサービス加算費が支払いに上乗せされる。

 居室環境や充実したサービスを受ける分は費用が膨らみ、場合によっては民間の有料老人ホーム並みになることもある。個々の特養の情報を収集して選ぶ時代なのである。

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