特別養護老人ホーム(特養)は入居を希望する待機者が多過ぎるし、「安かろう、悪かろう」。そう思い込んで、自分や家族の「終の棲家」として検討する際の選択肢に入れていないとしたら、もったいない。看取り実績で厳選した特養788施設リストを9回に分けて大公開する。特集『後悔しない医療・介護』の#12でお届けするのは埼玉県の81施設リストだ。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
介護や医療のプロと話し合い
24時間連携で看取る
無理に延命治療はせずに、自然に最期を迎えたい。そんな希望をかなえる施設の一つが特別養護老人ホーム(特養)だ。特養は終身利用できる上に、大半は看取り対応を行っている。
看取り対応とは、入居者本人や家族の意向に沿って、心身の苦痛を和らげるケアをしながら自然なかたちで最期を迎えられるようにサポートするもので、点滴や酸素吸入といった医療的なケアではなく、排泄を介助したり、床擦れを防いだりと、日常生活のケアが中心だ。
各施設の看取り実績を知る一つの手段が「看取り介護加算」の有無だ。
特養における介護サービスの中で、基本的な部分に上乗せされた取り組みには、国が定めた基準をクリアしたものについて介護報酬が加算される。2024年度の介護報酬改定で新規に設定されたものまで反映すると、加算項目は約50に及ぶ。
この介護サービス加算の一つに看取り介護加算がある。回復の見込みがないと診断された入居者が希望に沿って最期を過ごせるように、介護や医療のプロが入居者側と話し合って方針を共有し、急な体調の変化などに24時間対応できる連携体制を整える。これができた上で看取りを行うと、加算を取得できる(下表参照)。
看取り介護加算を取得している施設は、看取りに関する職員研修を実施し、多職種によって協議した看取りの指針がある。入居時に本人や家族にそれを説明して同意を得ている。回復の見込みがない看取り時期には個室や静養室を利用ができ、常勤の看護師を配置して、施設や医療機関の看護師と連携して24時間連絡できる体制を確保している。
「看取り介護加算(II)」を算定している場合、体制はさらに充実している。複数の医師を配置するか協力医療機関の医師と連携し、医師による対応も24時間体制。また、入居者の病状などは情報共有されており、配置医師の間で連絡方法などを具体的に取り決めている。
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