「デフレ脱却」は終わっていない?
物価目標達成でも「緩和的状況は続く」理由
内田眞一日本銀行副総裁が2月8日に奈良市内で行った講演で、大規模緩和策の転換後も「急速な利上げにはなりにくい」と、当面は緩和的な状況が続く見通しを語った。
発言を受けて、前週末の東京株式市場は8日、9日と連続でバブル後最高値を更新。週明け13日も一時3万8000円台をつけた。
今春闘では、「物価に負けない賃上げ」が新たなスローガンとなり、賃上げムードが政労使三者の間で国民運動のような高まりを見せる中、昨年に続く高い賃上げ率が現実味を帯びる。
市場では日銀が3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利解除などを決めるとの予想が支配的だ。
日銀はこれまで、「デフレ脱却」を掲げ続けてきた異次元緩和策を終えるめどとして、「賃金と物価の好循環」による安定的持続的な2%物価目標の達成を上げてきたから、市場などがそう予想するのも当然だろう。
だが、「内田発言」はマイナス金利解除後もゼロ金利政策などの非伝統的金融政策の下で緩和政策が維持されることを示唆した。株価の高進もそれを意識したものだろう。
だがデフレ脱却はまだ終わってないということなのか? 改めて日銀が言う「デフレ脱却」の意味合いを考える必要がある。