今回のダイハツ経営陣刷新の発表は、同社が再発防止策報告書を国土交通省に提出し、一部車種の生産再開を受けてのものであり、同時に豊田会長の“覚悟”の第1弾といえるものだ。
だが、その発表会見にはダイハツ・井上新社長とトヨタ・佐藤社長が並ぶだけで、豊田会長とダイハツの奥平総一郎社長の姿はなかった。
本来ならば、ダイハツの新旧社長とトヨタグループ立て直しの責任者宣言をした豊田会長が並んで会見をすべきではなかったのかと感じたのは筆者だけでないだろう。
トヨタ・佐藤社長は、井上氏をダイハツの新社長に選任した理由やダイハツ再建に向けた考え方などを一通り述べ、その後の質疑応答もそつなくこなしたが、経営責任による現経営陣の引責辞任かと問われた際に「引責辞任ではない」と、トヨタ新任社長として、トヨタ出身の大先輩であるダイハツ・奥平社長に遠慮する発言もあった。
第三者委員会が「まず責められるべきは現場の従業員でなく、ダイハツの経営幹部だ」と指摘していたように、経営責任は当然存在するだろう。それは、現経営陣だけでなく、過去から続いていた不正の責任を担う歴代経営トップ、つまりトヨタからの「天下り」トップらの責任問題を問うということでもある。同じく過去から不正が続いていたことが判明した日野自動車は、歴代トップの責任も追及(元役員が報酬の一部返納)した事実がある。
ダイハツ歴代社長は
トヨタ出身者が多数
筆者は、ダイハツの歴代トップへの取材・インタビューを重ねてきており、その歴史をよく把握している。