地震当日から、復旧は始まっていた
国土交通省の資料で見る鉄道復旧の経緯

 ここからは、能登半島地震による鉄道路線の被害と復旧状況をまとめていく。資料の原本は国土交通省の「令和6年能登半島地震における被害と対応について」だ。第1報は1月1日の18時。当初は頻繁に発出していたけれど、現在は主に1日1回、14時更新に定まったようだ。

【第1報】1月1日18時

 震度分布は北海道から九州まで広範囲に分布していたため、鉄道の影響範囲も大きかった。新幹線系統はほとんど止まった。東海道新幹線の場合、地震計を広範囲に設置し、遠方の地震計と沿線の地震計のデータを瞬時に解析して、運転に影響すると判断した場合は送電を止める。電車は送電が止まるなどの異常があればすぐに非常ブレーキが作動する。JR東日本、JR西日本も同様に止まった。この地震が影響しなかった新幹線は、山陽新幹線、九州新幹線、西九州新幹線だ。

 異常がないと判明した路線の運転再開も早かった。この時点で運転再開となった新幹線は北海道新幹線、東北新幹線、秋田新幹線、東海道新幹線だ。在来線も奥羽線、男鹿線、五能線が再開とされた。山形新幹線の記述がないけれども、直通する在来線の奥羽線が全線再開しているため、全線運転再開と同じ意味を持つ。長野電鉄と上田電鉄も一時停止していたようで、運転再開のみ記載されている。

 首都圏は埼玉県で震度4を観測したほかは震度3、近畿圏は大阪を中心に震度4だったから、大手私鉄やJR在来線も一時停止などの処置を取ったはずだが、影響が軽微と判断されたようで、第1報には記載されていない。

 この時点で運休となっていた路線は次の通り。JR大糸線、JR高山線がJR東海とJR西日本の管轄で分割されているため、合わせて全区間運休に数えた。また、JR東海道線の米原~野洲間はJR西日本の管轄だが、JR東海としても記載される。国交省も混乱しているようだ。速報重視で、鉄道以外にも大量にデータがある。そんな状態で速報を出さなくてはいけない。

[全区間運休]
JR北陸新幹線、JR羽越線、JR信越線、JR上越線、JR白新線、JR磐越西線、JR越後線、JR只見線、JR弥彦線、JR米坂線、JR氷見線、JR城端線、JR七尾線、JR越美北線、JR小浜線、JR大糸線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン、えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン、しなの鉄道北しなの線、しなの鉄道しなの鉄道線、あいの風とやま鉄道あいの風とやま鉄道線、IRいしかわ鉄道IRいしかわ鉄道線、万葉線高岡軌道線、万葉線新湊港線、福井鉄道福武線、えちぜん鉄道勝山永平寺線、えちぜん鉄道三国芦原線、山形鉄道フラワー長井線、北陸鉄道石川線、北陸鉄道浅野川線、のと鉄道七尾線

[一部区間運休]
JR上越新幹線(越後湯沢~新潟)、JR高山線(杉原~富山)、JR北陸線(近江塩津~金沢)、JR東海道線(米原~野洲)、JR山陰線(豊岡~東浜)、会津鉄道(会津高原尾瀬口~西若松)
2024年1月1日18時時点の不通区間(国土交通省発表を元に地理院地図を加工)2024年1月1日18時時点の不通区間(国土交通省発表を基に地理院地図を加工したもの、筆者作成) 拡大画像表示