「全方位外交」に取り組む、指針の曖昧な政党に、目の肥えたサイレント・マジョリティーは票を投じない。だからこそ本連載では以前、立民・泉代表に「党内に存在する『共産党との選挙協力を模索するグループ』と縁を切り、党を割るべきだ」と提言したことがある(第336回)。

 本稿でも改めて、立民が政権交代を本気で目指すのであれば、維新などの限られた政党と組んで改革を訴えた方が合理的だと強調しておく。

 では、立民と維新を中心とする「シン・野党連合」が成立した場合、政権交代を目指すにはどんな政策が必要なのか。今回は実現可能性を度外視して「三本の矢」を提案したい。

「シン・野党連合」が打ち出すべき
政策「三本の矢」とは?

 旗頭となる「第一の矢」は「地方主権」だと考える。自民党が掲げる「中央集権」への明確な対立軸となるからだ(第209回・p5)。

「地方主権」を掲げる政策では、単に国から地方への権限移譲を進めるだけでない。これからの時代は、地域同士が国境を越えて直接結び付き、経済圏を築く「コンパクト・デモクラシー」が当たり前になっていく。その動きを加速させるのだ。

 例えば、関西・九州・四国などの地方都市に経済特区を設け、外資を呼び込み利益を上げる。日本の各都市が、シンガポール・香港・上海といった成長著しい国や地域と直接結び付けば、経済成長のスピードは加速するはずだ。

 現実化できるかはさておき、現在の日本では当たり前の「中央政府が地方を規制で縛り付け、全てが首都に集中する経済システム」に疑念を呈する活動を、もっと大々的に行ってもよいのではないか。

「第二の矢」は「地方を巻き込んだ政治改革」である。自民党を揺るがす「政治とカネ」の問題は、国会議員の地方での活動量の多さが根底にある。かねて国会議員は選挙で票を得るために、地元の支援団体・地方自治体・地方議会議員など、さまざまな地元の支持者に便宜を図ってきた。

 詳しい説明は本連載の第347回に譲るが、そうした癒着を避けるため、約30年前に「選挙制度改革」が行われた。だが「小選挙区比例代表並立制」の導入後も、国会議員の活動が地元中心から議会中心へと変化することはなかった。それどころか、議員と地元の関係はより密になった。議員は政治資金のやりくりに苦しみ、派閥や地元の指示に従って、抜け道を探して裏金を受け取るなどの行為に走らざるを得なくなった。