「シン・野党連合」を率いる
意外なリーダーとは?
それでは、最後に「シン・野党連合」の内部人事について触れておきたい。こちらも実現可能性を度外視した話だが、「地方主権」を掲げる新しい野党勢力ができれば、その目玉となる新しいリーダーが必要だ。
その適任は、立民の泉代表や、維新の馬場伸幸代表・吉村共同代表ではなく、小池百合子東京都知事ではないか。小池氏は悲願の「日本初の女性首相」に向け、近く最後の挑戦をするとうわさされている。東京都知事を辞職し、4月の衆院東京15区補選への出馬が取り沙汰されているのだ。
自民党も人気回復のために「日本初の女性首相」を必要としているが、上川陽子外相や高市早苗経済安全保障担当相など、党内に候補者がいる。必ずしも小池知事の力を求めているわけではない。
むしろ、小池知事は「地方主権」を掲げる新しい野党を率いる方が、悲願達成の可能性があるのではないか。2017年11月総選挙で、地域主権を掲げる「希望の党」を率いて敗れた時のリベンジを目指すのだ(第169回)。
もちろん「シン・野党連合」が誕生し、そのトップに小池知事が就くハードルは非常に高い。その実現のキーマンは、国民民主から離れて「教育無償化を実現する党」を結成し、維新と連携を試みている前原誠司氏だといえる。
前原氏には、自民党への対立軸になるのは単なる「野党共闘」ではなく、「地域主権改革」を進める政党だという信念があるようにみえる。
振り返れば、第2次安倍政権期に最も政権交代を期待させた瞬間は、当時民進党の代表だった前原氏が「希望の党」への合流を決めた時だった(第168回)。
現在の前原氏の動きは、2017年の民進党離脱と少し似ている。確かにあの時は、詰めが甘くて失敗した。だが今は、前原氏にとってもリベンジの好機だといえる。「シン・野党連合」に加わり、小池知事を説得して担ぎ出すのは、意外にも前原氏の役割かもしれない。
小池知事は都知事選をはじめ、個人の力で数々の修羅場を生き抜いてきた(第137回)。政治不信が頂点に達する今、それを打破する切り札として、小池知事が仲間を率いて人生最後の大勝負に打って出るのを見てみたい。