政権交代のカギを握るのは
無党派層の支持獲得!?
このように与野党の双方に期待できない現状を憂慮してか、時事通信による1~2月の調査では「支持政党なし」の無党派層が6割をゆうに上回っている。
本連載では、こうした無党派層を「サイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)」と呼んできた(第136回)。中道的な考え方を持つ現役世代、子育て世代、若者らに加え、都市部で暮らすサラリーマンを引退した高齢者などがこれに含まれる。
ただし、イデオロギーに強いこだわりがなく、表立って声を上げないとはいえ、サイレント・マジョリティーが投票行動を一切しないわけでもない。常日頃から支持している政党はないものの、時流や政局に応じて一票を投じ、選挙の結果を事実上左右する力を持ってきた。
例えば、かつて民主党への政権交代を支持したのはこの人たちだ。また、第2次安倍晋三政権は、経済政策「アベノミクス」や、弱者を救済する社会民主主義的な政策でサイレント・マジョリティーの支持を獲得し、憲政史上最長の政権を実現した(第218回・p6)。
ところが現在のサイレント・マジョリティーは、自民党はもちろんのこと、野党第1党である立民にも満足していない。筆者の見立てでは、彼・彼女らの票が流れ込んでいるのは「改革」を標榜(ひょうぼう)する維新である。
2023年4月の統一地方選を思い出してほしい。この選挙では維新が躍進した。大阪府知事・市長・府市議会を「完全制圧」し、維新に所属する全国の首長・地方議員の合計は774人となった(第329回)。このうち505人は近畿圏であり、悲願の全国政党への脱皮は道半ばだが、それまで以上に維新に支持が集まったのは確かだ。
その理由は「バラマキ」を是とせず、地方分権・行政改革・規制緩和などを志向するラディカル(急進的)な政策が評価されたからだろう。その観点からも、冒頭で述べた「維新などの野党と組んで政権交代を目指す」という立民・泉代表の方針は間違いではない。
ただし、サイレント・マジョリティーの支持を獲得する上では、誰彼構わず「ミッション型内閣」への参画を呼び掛けるのではなく、維新以外の連携先を“絞る”ことがカギになるだろう。