バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材#2Photo:JIJI

日本製鉄は昨年、米鉄鋼大手のUSスチールを2兆円で買収すると発表した。買収資金の調達による負債の増加で、投資家から投資や出資の見直しへの圧力が強まりそうだ。これまで日鉄は、業界内外に幅広く出資し、巨大グループを形成してきた。どの関連企業の株式保有を見直す可能性があるのか。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』の#2では、日鉄独自のグループ支配戦略を解説するとともに、同社が出資する10社について、株価の変動要因になりかねない出資見直しはあるのかどうか、大胆予想する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

「2兆円買収」で財務体質改善が急務
日鉄が“出資見直し”をするのはどの銘柄?

 昨年12月、国内鉄鋼最大手の日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールの買収を発表し、業界に激震が走った。この超大型買収が成功すれば、日鉄のグローバルでのプレゼンスが高まることは間違いない。

 ところが、この買収には全米鉄鋼労働組合(USW)が反対を表明している。さらに、米大統領選挙でトランプ政権が復活すれば、買収阻止に動くとみられており、このディールの成否はいまだ不透明だ。

 実は、この超大型案件の動向に気をもんでいるのは、日鉄本体だけではない。買収交渉の結果は、日鉄のグループ企業のみならず、日本の鉄鋼業界全体に影響を及ぼしかねない。買収金額は日本円で2兆円にも上るため、「財務体質改善のために投資や出資を見直すよう、投資家が日鉄に対して圧力を強めるのでは」(鉄鋼業界関係者)とみられているのだ。

 日鉄は、買収資金を主に主要取引行からの融資で賄うとされる。この負債は、年間8000億円の連結事業利益(2023年第3四半期決算での年度見通し)をたたき出す日鉄にとっては大した痛手ではないが、金額が極めて大きいため、投資家が「無駄な出資は引き揚げるべし」といった声を上げても不思議ではない。

 グループ会社以外も含め、日鉄が出資する企業は多岐にわたる。日鉄による出資の見直しが実行されれば、対象企業の株価への影響は避けられない。では、出資を見直されるのは、どんな会社だろうか。取材を進めると、日鉄の緻密なグループのグリップ戦略と出資の関係が浮かび上がってきた。キーワードは“忠誠度”である。

 次ページでは、日鉄の独特なグループ戦略の実態を明らかにするとともに、日鉄による出資を受ける10銘柄を取り上げ、「株価激変」をもたらす保有比率の変動が起こり得そうな銘柄を大胆予想した。