普通に考えれば、小池氏が次期首相を狙う場合、(2)がベストな流れになる。知事として3期目に突入したとしても、小池氏にとっては何も面白いことがない。仮に(3)のパターンになった場合でも、再選されたばかりの知事を辞職し、勝負に出るだろう。

「小池さんには、2017年に『希望の党』を立ち上げながら、国政復帰を断念した後悔があるはず。知事としては、2期8年、やり切った感があると思いますし、この機を逃したら政治生命は終わってしまいます」(小池都政で東京都中央卸売市場次長などを務めた澤章氏)

 いずれのケースにしても、小池氏が国政に復帰する機会が生じれば、筆者の取材仲間、安積明子氏の著書のタイトルではないが、またまた政界は、「“小池”にはまって、さあ大変」ということになりかねない。

岸田首相が探る解散時期
警戒する小池氏のくら替え出馬

 では、解散権を握る岸田首相はどうだろうか。麻生派以外の派閥が次々と解体、もしくは衣替えとなったことは、岸田首相を、第4派閥・岸田派のトップにすぎなかった立場から、ようやく党全体のトップ(自民党総裁だから当たり前ではあるが)に押し上げる効果を生んだ。

 事実、岸田首相は、誰にも相談せず、岸田派の解体をはじめ、政治倫理審査会に自ら出ることを決めるなど、内閣支持率の低下とは裏腹にフリーハンドで党運営を進めている。筆者が見るところ、いたって元気で、再選に向けた意欲はまったく衰えていない。

 自民党内では、「選挙をやると負ける」という見方がある一方、岸田首相が、「株価が史上最高値」「春闘での賃上げ実現」「4月、国賓としての訪米で外交実績の上積み」、そして「6月、国民1人4万円の定額減税実施」をプラス材料に、衆議院解散・総選挙に踏み切るのでは、との見方が消えない。

 その場合、最速で、6月解散、7月投開票となるが、岸田首相周辺も小池氏の動向には注目しているため、小池氏に国政復帰をするチャンスを与えない方向でタイミングを探るとの見方がもっぱらだ。