コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。「コンサルティング業界への転職を考えている」という人はもちろん、「キャリアチェンジを考えたい」さらに「コンサルタントのスキルが気になる」という人にも役立つ。マッキンゼー、BCG、ベインなどの「経営戦略系ファーム」そしてアクセンチュア、デロイト、PwCなどの「総合系ファーム」対策の全てが詰まった完全保存版の一冊だ。※この連載では、書籍から一部を抜粋・編集して掲載します。

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コンサルの面接では「質問と回答がズレる」人は評価されない

 コンサルタントの話し方が多くの人から「頭がいい」と評価されるのはなぜでしょうか。「コンサルティングファームが面接で何を評価しているか」を分析してみると、具体的に何をしたらいいかが見えてきます。

 コンサルティングファームの面接では、ケース以外の通常質問でも「ロジカルな考え方ができるか」は見られています。「結論がわかりやすく、理由・根拠が明確である」回答ができるように対策します。
 そもそも、書類がロジカルに作成されていて下地ができていれば、通常質問対策はそれほど大変ではありません。応募から最初の面接までに1~2週間は間が空くので、この間にコンサルティングファームでよく聞かれる質問に対する準備をします。
 よく聞かれる質問は、
・自己紹介
・職務経歴
・志望動機
・貢献できること(強み)
・苦手なこと(弱み)
・成果を上げた経験
・苦労した経験
・5年後10年後のキャリアプラン
などがあります。
 いずれも、回答に対して1~2回掘り下げられる(さらに深く質問される)ことを前提に準備しておきます。

 私が対策で最も重視しているのは、「質問に対する回答になっているか」、つまりは「質問と回答がズレていないか」です。この点は、ファームからも厳しく見られます。

「いやいや、質問への回答がズレないのは当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、残念ながら誰もがやりがちな失敗です。面接の緊張や焦りから、つい必要以上に話してしまう人もいるので、気をつけてください。

 よくあるNGの例としては、職務経歴を聞かれているのになぜか最後は志望動機を話していたり、志望動機を聞かれているのになぜか最後は自分の強みをアピールしていたり……というパターンです。「本人的にはよかれと思って話したことが、面接官から見ると余計なことだった」というのが、ズレてしまう典型的なパターンです。

 また、「質問を繰り返されるうちに、途中で面接官の質問の意図がわからなくなってしまった」というパターンもあります。こうなってしまうと、面接官の質問にきちんと回答することは不可能です。確認を行うことは全く問題ありませんので、質問の意図がわからなくなったら、必ず聞き直しましょう。

 このように質問と回答がズレると、いくら回答した内容自体がよくても、面接官(コンサルタント)からは「そもそもロジカルではない」と評価されてしまいます。

 次に準備で重視しているのは、回答に「納得感(ロジック)があるか」です。具体的には「できる限り結論から簡潔に話す」「結論の理由・根拠が明確である」と、話す内容に納得感が出ます。
 志望動機のように、必ず聞かれる質問はあらかじめ準備できますので、結論→根拠の順に話す内容を決めておきます。面接の場で考えさせるような質問(あらかじめ準備できていなかった質問)の場合は、どうしてもその場で対応することになりますので、結論がわかりづらくなりがちです。一通り話した後に「要するに、お伝えしたいこと(結論)は◯◯です」と、結論を再度整理して話すようにしましょう。

(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです)