日銀マイナス金利解除の次は「10月追加利上げ」も、25年の利上げは見通せずPhoto:SOPA Images/gettyimages

マイナス金利解除後の金融政策運営
「賃金・物価の好循環」が鍵になることは変わらず

 日本銀行は、3月19日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除とともに、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を撤廃、無担保コールレート・オーバーナイト物(TONA)を新たな政策金利とした上で「0~0.1%」の誘導レンジを設定するなどの措置を決めた。

 このほか、マイナス金利政策の撤廃に合わせて、日銀当座預金の付利構造を変更(所要準備は付利なし、超過準備は+0.1%の付利)や長期金利の誘導目標の撤廃、ETF(上場投資信託)、J-REITの買い入れ終了、オーバーシュート型コミットメント撤廃、新たな量的指針として長期国債の月額買い入れ額の先行きの明示などが決定された。

 利上げは17年ぶり。日銀が今春闘での高い賃上げ率を受けて金融政策の正常化に動き出したことで、市場の関心は今後の追加利上げに向けた金融政策運営へと移る。その際の焦点は、これまでと同様、「賃金・物価の好循環」の評価に尽きる。

 とりわけ今後は「賃金→物価」への波及がポイントだが、筆者は2024年10月には0.25%の追加利上げを予想する。

 ただし現状では25年の利上げは想定し難い。