【仕事のときだけ憂うつになる…】甘えていると勘違いされやすい「非定型うつ病」とは?
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

【仕事のときだけ憂うつになる…】甘えていると勘違いされやすい「非定型うつ病」とは?Photo: Adobe Stock

「甘え」と思われる?

「うつ病」というと、みなさんはどんなイメージを持たれますか?

「いつも調子が悪い」
「落ち込んでいていつも具合が悪そう」

 そんな客観的に見て、わかりやすい症状はうつ病では見られます。
 しかしながら、このような従来のうつ病とは異なり、「非定型うつ病」という病気ではいつも落ち込んでいるわけではなく、休日や仕事がないときだと比較的元気で、遊んだり、食事や睡眠もとれたりします。

 そんな病気の性質から、周囲だけでなく本人でさえも、「甘えているだけだ」と考えてしまうことも多い病気です。
 ただ、その落ち込みは通常考えられるよりも重く、生活が送られなくなってしまうのです
 そんな誤解されやすい「非定型うつ病」について共有したいと思います。

非定型うつ病とは?

 非定型うつ病では、従来のうつ病とは異なる症状が見られます。
 非定型うつ病の症状としては、

・気分反応性
・拒絶への過敏性
・過眠
・過食
・鉛管様麻痺(全身が鉛のように重く感じられる状態)

 これらの症状が見られることから、「いつもより寝てしまう」「いつもより食べてしまう」と逆に「元気なんじゃないの?」と間違えられてしまいます。
 ですが、そんな症状のほかに、「感情のギャップが激しくなる」という症状を認めることが特徴です。

「仕事に行こうとすると気持ちが落ち込むけど、休んだり遊んでいると気持ちが晴れる」
「気持ちの浮き沈みが1日のあいだで激しすぎてついていけない」

 そんな感情の変化で疲弊してしまう、気分の反応性、過敏になってしまうというのが非定型うつ病の特徴です

 また、「拒絶」されることへの過剰な反応も見せるようになってしまいます。
 誰でも拒絶されたり反論されるとショックを受けるものですが、非定型うつ病ではこの傷つき方が極端になります。
 場合によっては、激高したり、急に仕事に来なくなるなど極端な反応を起こしてしまいます。

 さらに、拒絶や反論だけでなく、周囲の人々が良い意味で言ったことであっても、過剰に捉えてしまって落ち込んだり、素直に喜べずに皮肉と捉えてしまうことも少なくありません。

 このように、繊細で、感情的な自分に変わってしまうのが「非定型うつ病」という病気なのです。

 非定型うつ病は、“うつ病”という名前のために誤解を招くことがあります。
 ですが、従来のうつ病とはまったくことなる症状を起こすため、後に不安障害やパーソナリティ障害など、合併症があると診断されることが多い病気でもあります。

「甘えている」と決めつけず、病気について理解を深めることが、安定した生活のためにはとても大切になるのです。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。