ミドルマネジメントを幸せにしたい
青木 現代の組織における課題の一つはミドルマネジメント(中間管理職)ですよね。僕はとにかく、ミドルマネジャーが会社の中でどうやったら幸せになるかを考えるようにしています。
佐宗 なぜミドルマネジャーを幸せにすることが必要だと思うんですか?
青木 そもそも、多少給料が多くなるからといってミドルマネジャーになりたいという人は、僕らの会社には多くはないと思っています。それでも、頼まれたらみんなのために一生懸命やりたいという人にお願いして、引き受けてくれている。ですから、そんなミドルマネジャーたちには「苦労ももちろんあるけれど、責任と意義を持ち、充実した役割を果たしている」と感じてもらいたいんです。
また、幸せというのは、単に「楽」だとか「称賛される」ということではありません。自分がきちんと貢献できる環境や道具や権限が揃って初めて、人は充実感を得られるんだと思います。
さらに、そういうマネジャーたちの姿は、他の社員の充実感や働きがいにもつながると考えています。
佐宗 なるほど。だからこそ、「マネジメントの道具としての理念」が大事になってくると。
青木 そうなんですよね。本当は理念だけじゃなくて、職場で使うさまざまな言葉の定義を厳密化するべきだと思うんですよ。
佐宗 宗教でも教義の体系がよくできているものは浸透していくといいますが、理念を額縁に入れてよしとする理念経営と青木さんの考える理念経営の違いは、その裏にあるロジックや思想の重みの違いなんでしょうね。
青木 僕としては「組織をうまく動かすためのアルゴリズム」をつくっている感じなんです。プログラミングでバグが見つかったらどんどん修正していきますよね。今回、理念を刷新することにしたのも、そういう小さなバグに対応するためのバージョン修正に近い感覚です。
佐宗 おもしろいですね! 次回は最後に「企業理念とお金・数字との関係」についてお聞きしたいです。
(次に続く)