頭がいい人は誰かの話を聞いたり、本を読んでいるときも、アウトプットすることを前提に聞いたり読んだりしているため、記憶の定着度や理解度が高いのも特徴です。

 新聞を読むとき、誰かに説明することをイメージしながら読んでみると、漠然と読むときよりしっかりと頭に入るものですが、要はそれと同じことです。

 こういう思考を普段から習慣づけている人は、ビジネスシーンでもその力を遺憾なく発揮できるでしょう。会議の席でもパニックにならず、テーマ全体を俯瞰して捉え、キーワードを拾い出し、限られた時間で説明することができます。

 ほかにも、頭がいい人というのは、物事の何が重要か、あるいは重要でないかを、自分の視点で理解できている人です。そして、この「自分の視点」を獲得しているということが、すなわち知性や教養を身につけているということにもなるのです。

 雑学に強いといわれる人は、たしかに豊富な情報を記憶していますが、頭の中でバラバラに覚えていて断片化している状態では、知識として仕事に活かすことはできません。雑学と教養とは意味がまったく異なるのです。

 得た知識を頭の中で整理し、再構築し、体系化できる人。頭がいい人は、この情報の整理力があるから正しいアウトプットができるわけです。

 教養とは、知識を身につけることで養われる心の豊かさだと言う人がいます。私も、 頭がいい人とはそういう人のことではないかと思っています。

知識のキャッチボールが
できるか否か

 頭がいい人というのは、情報を効率よく取り入れて、正しく伝えることができる人。 つまり、インプットとアウトプットが上手な人です。

 相手から得た情報を整理し、それを要約しながら相手に返す。いわば「情報のキャッチボール」です。来た球を捕れますし、それをまた相手の胸元へコントロールよく投げられる。

 それを繰り返すことができるので、相手も気持ちよくキャッチボールが続けられます。

 これは、現代社会では大変重要な力です。個性と理解力のどちらが仕事仲間として必要かと聞かれたら、たいていは「まずは、こちらが話したことを理解できる人」という答えが、多くのビジネスシーンにおける本音ではないかと思います。