「多文化社会」の認識が、
台湾と日本ではまったく異なる

 台湾は、特に2016年からの8年にわたる民進党・蔡英文政権下で、多文化社会化に重点を置いた移民政策や、東南アジアやオセアニア諸国との経済政策「新南向政策」を強化し推し進めてきました。この多文化社会とは、漢民族系と原住民族の社会に東南アジア7カ国(ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、カンボジア、フィリピン)の民族、言語、文化も加わった、新たな社会構造です。台湾政府は早くから、国際競争に打ち勝つために、法整備や経済活動を強化しています。今年5月20日台湾の新総統に就任する民進党・頼清徳政権下でも現政権の政策継続の方向にあります。

 こうした台湾の取り組みは、日本にとっても参考になるはずです。TSMCの日本進出は、日本が多文化社会に対する認識を見直す絶好の機会。日本のこれまでの「異文化理解」や「多文化共生」という考えでは、さまざまな国籍の外国人住民が一気に増えた途端に社会が行き詰まるのは目に見えています。世界視野で多様性を受け入れ、多文化社会を実現することが急務といえるでしょう。