■第一段階「とどまるか辞めるか悩んでいる」

 まだ退職意思が明確ではなくとも、「この組織で今の仕事を続けていてよいのか……」と進退について悩んでいるときは、普段の態度や発言に多少の変化が表れるものです。たとえば、このような事例が象徴的です。

・自分から挨拶をしてこなくなったり、こちらからの挨拶への反応が薄くなった

・これまであまり自己主張しなかった部下が、給与交渉や昇格、部署異動などについて打診してきた

・仲の良いメンバー同士での世間話やランチ、飲み会への参加頻度が減った

・いつもは1人で過ごすことが多い部下が、急に連れ立ってランチや飲み会に行くようになった

・「●●さんが愚痴や不平不満をこぼしていた」との噂が聞かれたり、実際に本人の口からネガティブな言葉が出てくるようになった

 これらの兆候からは、本人が職場環境や業務内容、待遇などに何かしらの不満を感じていたり、悩みを抱いていたりする可能性が窺えます。心を許せる人に相談をしているケースもあるでしょう。この時点で、本人にとってのネガティブな要素をすくい上げ、解決することができれば、不本意な離職を未然に防ぐこともできるでしょう。

■第二段階「転職を意識し始めた」

 日常的な行動や発言に明らかな変化が表れ、これまでとは異なる姿勢が見えるようになると、転職を意識して、具体的なアクションを取り始めた可能性があります。具体的にはこのようなケースが挙げられます。

・業績やパフォーマンスが、一時的にではなく、一定期間にわたって低下している

・以前は興味を示していた業務やプロジェクトに対する関心・意欲が見られなくなった

・よく残業し、あまり休むこともなかった部下が、定時帰りの日が増えたり、有休取得の頻度が増えたりしている

・業務時間中に私用電話に立つ様子が見られる

・急に、新たな資格試験の勉強を始めた

 転職に向けてアクションを取り始めると、エージェントや転職先企業との面接のために時間を割いたり、外部との連絡が頻繁になったりする傾向があります。その影響で本業に従前ほどは本腰が入らなくなり、逆に新天地で必要な勉強を始めるなど、日々の行動に少しずつ変化が見られるようになるでしょう。