GWは目にも鮮やかなツツジの名所へ
4月下旬から5月上旬のゴールデンウイーク(GW)に見頃を迎えるなじみ深い花といえば、ツツジ(躑躅)でしょう。道路沿いや公園などに植栽されることの多い低木の常緑樹で、子どもの頃に花の蜜を吸ったことがある方もいるかもしれません。花言葉は「恋の喜び」ですが、アザレア(Azalea)と呼ばれる海外では「節制」や「禁酒」も意味するそうです。
京都のツツジの名所の一つが洛北の妙満寺です。「出町柳」駅が始発の路面電車・叡電(えいでん)鞍馬線「木野」駅から徒歩5分ほど。駅南側の住宅街を道案内の看板に従って進めばたどり着けます。山門の周辺を彩る「つつじ園」をはじめ、境内に植えられた約3000株ものツツジが、お寺の凛(りん)としたたたずまいに鮮やかな彩りを添えています。
妙満寺は、南北朝時代の1389(康応元)年、比叡山で修行を積んだ僧・日什(にちじゅう)が六条坊門室町(現在の烏丸五条あたり)に創建。寺町二条に移転して400年ほど経た後、1968(昭和43)年に洛北の現在地へと移りました。
「月の庭」(清水寺の成就院)、「花の庭」(北野天満宮)とともに「雪月花三名園」に名を連ねる「雪の庭」も見どころです。端正な庭と向き合い、純白の雪景色を思い浮かべると、心が浄(きよ)められますよ。
また、本堂には道成寺(和歌山県日高川町)に由来する梵鐘が据えられています。平安時代後期、若き修行僧・安珍に一目ぼれした清姫の届かぬ思いがやがて怨念へと変わり……この情念が燃え盛る逸話が語り継がれ、歌舞伎や浄瑠璃、能のモチーフとなりました。
お寺のシンボルである仏舎利大塔とツツジを繊細な刺繍で表現した期間限定の御朱印(1枚1200円)にも注目。6月末まで授かることができます。
ツツジを堪能できるもう一つの名所は、京阪宇治線「三室戸」駅から東へ15分ほどの三室戸寺。山の斜面に約5000坪の広大な庭園が広がります。斜面を染め上げるツツジは、圧巻の2万株! 関西の社寺で最大級です。 平戸ツツジ、霧島ツツジ、久留米ツツジなど品種の違いも楽しめますよ。
他にも、杉木立の間に咲き満ちる約2万株ものアジサイ、本堂前の約250鉢の蓮園、近年開園した250本の「しだれ梅園」など、花の寺としても知られています。