秘仏妙見大菩薩像と秘仏三面大黒天像常照寺(北区)の秘仏妙見大菩薩像/左、秘仏三面大黒天像/右 写真提供:京都古文化保存協会

期間限定!秘仏を求めて文化財の特別公開へ

 花の名所を巡る際には、春と秋に実施される「京都非公開文化財特別公開」も忘れずに。普段非公開の貴重な文化財に期間限定で触れることができる恒例のイベントです。4月27日から京都府内の15カ所でスタート。事前予約は不要で、開催期間中に直接訪れればOKです。とはいえ、公開期間や時間、休業日などは異なるので、京都古文化保存協会公式サイトで事前に確認してからお出かけください。

 今春特に注目したいのは、初公開の二つのお寺。金閣寺よりも北の鷹峯(たかがみね)にある常照寺と嵐山・嵯峨野の宝筐院(ほうきょういん)です。

 常照寺は、市バス「鷹峯源光庵前」停留所から歩いて2分ほど。1616(元和2)年、本阿弥光悦の寄進した土地に、日蓮宗の中興の祖である日乾(にちけん)上人が創建。明治になるまで僧侶のための学問所として栄え、「鷹峰檀林」と称されました。

 江戸時代初期に島原の名妓として名を馳せた二代目吉野太夫が寄進した朱塗りの山門「吉野門」が守り継がれ、吉野太夫の墓や太夫ゆかりの茶室・遺芳庵も現存しています。今年はすでに催されましたが、毎年4月第2日曜には島原の太夫が吉野太夫の墓に詣でる「吉野太夫花供養」が行われ、参道を練り歩くあでやかな衣装の太夫道中が見られます。

 今回は、そんな吉野太夫ゆかりの品をはじめ、鷹峰檀林関係資料、最澄の作と伝わる秘仏・三面大黒天像、日蓮聖人が感得して日像上人が開眼したと伝わる秘仏・妙見大菩薩像という二体の仏像が特別に公開されます。

 宝筐院は、市バス・京都バス「嵯峨釈迦堂前」停留所から徒歩3分ほど。平安時代後期に第72代白河天皇の勅願寺として建てられた善入寺が前身。室町時代に二代将軍足利義詮(よしあきら)の菩提寺となって再興した臨済宗の単立寺院です。

 特別公開されるのは、本尊の十一面千手観世音菩薩、幕末から明治にかけて活躍した日本画家・谷文中による書院の襖絵「四季花鳥図」、裏千家・久田家の茶室を写した客殿北側の茶室「丹照庵」、青紅葉の輝く庭園です。

「京都非公開文化財特別公開」は1965(昭和40)年に始まった文化財保全のための普及・啓発事業で、特別公開による拝観料は文化財の保存修理や維持管理などに充てられています。とっておきの文化財を観賞することで、文化財を未来へとつなぐ保全活動にも貢献できるのでおすすめです。

四季花鳥図特別公開される宝筐院(右京区)の谷文中筆書院襖絵「四季花鳥図」  写真提供:京都古文化保存協会