賀茂競馬5日に上賀茂神社で行われる賀茂競馬 写真提供:上賀茂神社

GW必見の清めの神事とは 

「路頭の儀」の前に行なわれる清めの神事の中で、ゴールデンウイーク(GW)に見られるものを日程順にご紹介します。

【5月】
1日(水) 賀茂競馬足汰式(かもくらべうまあしぞろえしき)
 かつては宮中の神事でしたが、平安後期以降、上賀茂神社で行われるようになりました。5日の賀茂競馬(かもくらべうま)に出走する馬を馬場に走らせ、その速さなどを見て組み合わせや出走の順番を決めます。1頭ずつ走らせる素駆(すがけ)の後、本番と同じく2頭ずつ走らせる競馳(きょうち)へ。馬と乗尻(騎手)が一体となって約200mの馬場を全力で駆け抜けていく勇壮な姿が圧巻です。午前11時から受付が始まり、有料拝観席が用意され、午後1時頃に走り始めます。

3日(金・祝) 流鏑馬神事(やぶさめしんじ)
 下鴨神社の糺(ただす)の森の馬場で営まれる神事。約500mの馬場に100m間隔で設置された3カ所の的を、土煙を上げて疾走する馬の上から矢で射抜きます。見事矢が的に当たれば、その的は縁起の良い“当たり的”として、矢と共に一般に授与されます。平安装束(狩衣)、武家装束など射手の姿にも注目です。開始は午後1時から。拝観席も設けられる予定です。

4日(土・祝) 斎王代禊の儀(さいおうだいみそぎのぎ)
 葵祭のヒロインである十二単姿の斎王代をはじめ、女人列に参列する女性たちが御禊の儀を行います。上賀茂神社と下鴨神社が1年交替で務め、今年は10時から下鴨神社の御手洗池で実施。禊の後、精進潔斎した斎王代など参列する女性は、祭の当日までの無事を祈る日々を送ります。

 ところで「斎王代」とは、斎王の代わりという意味です。斎王は平安時代に天皇の娘や姉妹など未婚の皇女から選ばれ、賀茂社に奉仕した女性のこと。その伝統は、平安初期の第52代嵯峨天皇の頃に始まり、鎌倉初期の第82代後鳥羽天皇の時代まで続きました。

5日(日・祝) 賀茂競馬(かもくらべうま)
 1日の賀茂競馬足汰式(あしぞろえしき)で決定した組み合わせ順に従って実施されます。舞楽装束をまとった乗尻(のりじり)と呼ばれる騎手が、右方と左方を一対として1馬身の差を付けて馬を走らせ、スピードを競います。馬の差が広がると前の馬、縮まると後の馬が勝利を得る方式です。スタートは午後2時から。有料の拝観席も用意されています。

5日(日・祝) 歩射神事(ぶしゃしんじ)
 鏑矢(かぶらや)を放ち、弦の音で邪鬼を追い払う、祭りの無事を祈る露払いの神事。下鴨神社で11時頃から行われます。楼門の屋根を越えるように鏑矢(かぶらや)を放つ屋越式、大的を射る大的式、連続で矢を射る百々手式が行われます。馬上から矢を放つ流鏑馬神事とは異なり、背筋を伸ばして弓を引く様は凛々(りり)しさに満ちています。

 ところで、この時期に上賀茂神社へ行くなら、一の鳥居前から東へ徒歩13分ほどの境外摂社「大田神社」にも足を延ばしてみましょう。境内の大田の沢に咲くカキツバタ(杜若)は平安時代から名高く、例年5月上旬~中旬が見頃。貴重な野生の群落として、国の天然記念物にも指定されています。

  神山や 大田ノ沢の かきつばた ふかきたのみは いろにみゆらむ  

 平安後期の歌人・藤原俊成は、このように恋の歌を詠(よ)みました。瑠璃色に輝く花々と新緑の共演を楽しみましょう。 

大田神社の杜若大田神社の杜若。拝観時は育成協力金(1人300円)の奉納を