魔法の言葉「まだ」を
効果的に使おう

 わたしには勇気がない。
 わたしはリスクを負えない。
 わたしは「ノー」と言うのが苦手。

 こうした断定的な言葉は、硬直マインドに陥っていることを意味している。

 成長や進歩の余地がどこにもない、行き止まりだ。でも、それぞれの言葉に、ほんのひと言つけ加えたら……。

 わたしにはまだ勇気がない。
 わたしはまだまリスクを負えない。
 わたしはまだ「ノー」と言うのが苦手。

 これだけで、どうにも身動きがとれなかった状態からたちまち自由になれる。あなたは今いる場所から、どこか目指すべき場所へ向かって成長している途中。心理学者にして動機づけの権威キャロル・ドゥエックはこれを、「今にとらわれる」のではなく「まだの力」を受け入れることだと述べている。

 ほんのちょっとした気持ちの変化でも、大きな影響をもたらすことはよくある。間違いを言い直すときにはとくに。あなたは「成功しなかった」のではない。まだ成功していないだけ。こんなふうに考えれば、間違いは一時的なつまずきにすぎない。間違えても途中でやめる必要はない。「ダメだ、失敗した」と落ちこむかわりに、「あれは試したから、今度は別のことをやってみよう」と気持ちを切り替えることもできるようになる。

書影『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』(海と月社)
レシュマ・サウジャニ 著

 大ベストセラー『ダイバージェント 異端者』(角川文庫)の著者ベロニカ・ロスは、あるときまで、自分の人生は何もかも完璧でありたいと望んでいたそうだ。だから、原稿を書いても気に入らないところがあると全部を「ごみ」と称していたという。でも考えを改め、今はこんなふうに言えるようになった。「この原稿には可能性があるから、手直しすればいい」「この原稿は、まだよくなってないだけ」

 完成された人間なんてひとりもいない。みんな発展途上にある。今度、自分の限界を勝手に決めてかかって話している自分に気づいたら、ぜひ、その言葉に「まだ」をつけてみてほしい。すぐに気持ちが違ってくるのがわかるだろう。