新たな流れを実感しようと2月中旬新型MINIカントリーマンをテストドライブした。場所はポルトガルのリスボンである。ところで、カントリーマンという新名称だが、これはそもそもグローバルで使われていたモデル名である。クラブマン同様クラシック・ミニの時代から親しまれているネーミングだ。だが日本では商標登録上、長年使えなかった。それも一件落着したのだろう。第3世代のクロスオーバーは“本名”を名乗ることとなった。

 新型MINIカントリーマンのプラットフォームはBMW・X2/iX2と共有する。というか、X1/iX1と同じ。BMWのプレミアムコンパクトSUV用として開発されたユニットをベースにしている。構造上ICE(内燃機関)とBEVでシェアできるのがポイント。と同時に走りのよさは実証済みである。軽量かつ高いボディ剛性が操縦安定性を高め、柔らかいセッティングを可能にしたサスペンションが、快適な乗り心地と高いコーナリングスタビリティを産む。

“ゴーカートフィール”が心地いい
BEVになっても楽しい走りは健在

 見事な走りのエビデンスとなるのは“2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー”の選考結果だ。BMW・X1/iX1は高い評価を得て“インポート・カー・オブ・ザ・イヤー”に輝いた。選考委員を務めるモータージャーナリストの多くが、その走りのよさに得点を入れた。そのプラットフォームをMINIらしくセットアップしたのが今回のカントリーマンである。

 デザインはキープコンセプトといっていい。グリルとヘッドライトの位置関係、各ピラーの立ち方はこれまでと変わらない。ルーフラインも同様のイメージだ。が、ディテールは新しさをかもし出す。LEDを使ったヘッドライトユニットのシグネチャーやテールランプのユニオンジャックを連想させる光のライン、八角形のグリルやバンパーの形状は凝っている。そこにトレンドも注入されている。

 インテリアも新鮮だ。いちばんの注目はメータークラスターを廃止した点だろう。ドライバーへの情報伝達は大型センターモニターとフルカラーヘッドアップディスプレイとなる。大型センターモニターは手が込んでいて、いろいろなデザインが楽しめる。クラシックとかスポーツとかをテーマに、まったく異なるデザインを映し出し、車内の雰囲気を変えるのだ。いうなれば、デザイナーが遊んでいるような演出、まさに“MINIらしさ”。他のブランドではできないワザだ。

 走りの印象も素晴らしい。ステアリングを握ったのは、カントリーマンSE・ALL4とジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンの2種類。前者がBEV、後者がハイパフォーマンスICEとなる。日本仕様にはBEVとしてもう1台出力を抑えてFWDにしたカントリーマンEがあり、ICE仕様は1.5L直3ターボのカントリーマンC、2L直4ターボのカントリーマンS・ALL4、そして2L直4ディーゼルターボを積んだカントリーマンDがラインアップされる。ちなみにディーゼルは日本専売モデルと聞いた。