やることなすことすべてがマウントと捉えられてしまう
勝木 実は岩瀬さんのツイート(Xのポスト)にも含まれてはいたのですが、今回の本には入ってないです。
「本郷の授業は超退屈だった。」(2020年6月27日の岩瀬氏のXの投稿)など、しっかりチェックしています(笑)。
(編集部注:岩瀬氏は東大法学部卒)
岩瀬 東大卒の人って、東大がどうとか気にしていないんです。Facebookなどでつながっている同級生も東大生だから。あまりにも気にしてないため、大学名すら書かない人もいます。「もうわかっているだろう」というニュアンスもあるのかもしれませんが…。
勝木 そうなると、ご自身では、もはや何がマウンティングなのかわからなくなってきますね。
岩瀬 そうなんです。「(飛行機の)エコノミークラスに乗ってます」と書いても、何かのアピールに受け取られるだろうし。
スーツ着ても、ユニクロ着てもマウントだと思われるし。
やることなすことすべてがマウンティングと捉えられてしまう。ある意味、窮屈な時代ですね。
勝木 たしかに、そこまで行くと、発言に対してみんなが過敏になりすぎているところはありますよね。
『入社1年目の教科書』を使ったマウント体験
ライフネット生命保険株式会社創業者
1976年埼玉県生まれ。1997年司法試験合格。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティンググループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で終了(ベーカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げ、2013年より代表取締役社長、2018年6月より取締役会長。2020年よりスパイラルキャピタルのマネージングパートナーに就任。著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)など多数。
岩瀬 ドラマ「不適切にもほどがある」にも通じるものがあると思うんですが、「世の中総ポリス時代」というか、やや窮屈で、行き過ぎてしまったかのような、今の空気があるじゃないですか。そこに風穴を開けたのがこの本ではないかと。
例えば、ポリティカルコレクトネス(Political Correctness、ポリコレ)に対し、アメリカではトランプが出てきましたが、日本では世間の息苦しさにクドカンさんとこの本が出てきた。ドラマもそうですが、この本も書き方がポジティブで誰も傷つかないところがいいなと思いました。
勝木 そういえば、『入社1年目の教科書』は、著者である岩瀬さんには文句のつけようがないほどに確立されたキャリアがありますし、この本をおすすめすることで、上司や先輩たちは、ちょっとしたマウンティングエクスペリエンス(MX)を体験できるのかもしれません。
(編集部注:『人生が整うマウンティング大全』ではMXを「自分は特別な存在であると認識(誤認)させてくれる体験」と表現している)
『入社1年目の教科書』が長い間売れ続けている(編集部注:66万部を突破。マウントではありません)理由の一つでもある気がします。
この本をおすすめしつつ、「自分も新入社員の頃は苦労したんだ」みたいな話もできますし。
岩瀬 そういう視点で『入社1年目の教科書』を評価していただいたのは初めてです(笑)。
ところで、新入社員が最初に経験するマウントってどういうものがあるのでしょう?