「感じのいい絶妙な電話対応」では、どのようにお客様から「利用目的」を聞いているか?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。

お客様のほうからドンドン話したくなる「感じのいい絶妙な電話対応」での聞き方・ベスト3Photo: Adobe Stock

「何を聞くか」よりも「どう聞くか」

 私は営業部門の教育の一環で、電話やメールの対応ログをモニタリングすることが多くあります。

 日頃から感じるのは、社内で「何を聞くか、伝えるか」は指導されていても、「どのように聞くか、伝えるか」の指導が手薄だということです。

 これは電話の対応ログをモニタリングしていたときのことです。
 ある新人営業の方が「お客様、弊社サービスの利用目的は何ですか?」と聞いていたことがありました。
 マニュアルにはたしかに、「利用目的を聞く」と書かれていましたが、これでは直球すぎて、あたかも「読んでいる」ことが丸わかりです。

「今回はどのような目的でご連絡いただきましたか?」と聞くだけでも、印象がよくなりますが、今日はさらに感じよく、自然な「利用目的」の聞き方を3つご紹介します。

「ある言葉」を使わないのがポイント

 1つめは、王道で「何を探しているか/したいか」を聞きます。
「今回は、どんなものをお探しでしょうか?」以外に、扱っているサービスが旅行や観光などのコト消費ならば、
「どんなことを楽しみにされていますか?」
 
という聞き方もあります。

 2つめは、「きっかけ」を聞きます。
「どんなきっかけで、私どものサービスに興味を持たれたのでしょうか?」などと聞いたときの答えが、たとえば「人に勧められた」であれば、
「ありがとうございます。その方は、どんなことをおっしゃっていましたか?」
 
と続けることで、目的に近づくことができます。

 3つめは、「何をご覧になって、お問い合わせくださいましたか?」という経路を聞きます。
 ホームページや広告と言われた際には、
「ありがとうございます。どの言葉がお客様の目に留まりましたでしょうか?」
 と、聞けば、さらに絞り込むことができます。

 いずれの質問にも共通しているのが、あえて「目的」という言葉を使っていない点です。
「弊社サービスの利用目的は何ですか?」との違いは、歴然ですよね。

 感じのいい営業パーソンは、自然な会話の流れの中で、お客様のニーズをキャッチすることに長けているのです。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。