「日本経済復活のためには消費税を永久にゼロにすべきだ!」という主張はいろんな方からよく耳にするが、「消費税以外ゼロにする」というのはかなり斬新だ。というより、「胡散臭い話だなあ」と感じる人もかなりいらっしゃるのが現実だろう。

都知事選で語られた
「古典的陰謀論」の正体

 そう感じてしまうのは無理はない。木宮氏が出馬会見で語った「ゲサラ」と、それを受けてSNSでセットで語られている「ネサラ」というものは、実は一部の人たちからは「古典的陰謀論」と位置付けられて批判をされているものだからだ。

 関連書籍などの情報を総合すると、「ネサラ」とはNational Economic Stabilization and Reformation Actの略で、日本語に訳すと「国家経済安全保障改革法」。実は、これはもともと1990年代、アメリカのあるコンサルタントが自身のホームページで公開した、所得税や不動産担保ローンを廃止して、大幅な消費税を導入するという経済改革案だった。

 そんな「個人の思いつき的提言」がネットの世界で一人歩きをしていく。「実は連邦議会でネサラ法が秘密裏に通過して大統領も署名をした」「9・11のテロはネサラ法を国民にバレないように仕込まれたもの」など壮大なストーリーが囁かれるようになったのだ。さらに、近年はトランプ元大統領がよく口にしている「ディープステート」(闇の政府)と結びつけられて語られることも多くなる。そのため、アメリカ社会で「ネサラ」というワードを口にする人たちは、Qアノン的な「陰謀論者」として見られているのだ。

 つまり、今回の都知事選候補から「ネサラゲサラ」という呪文のような言葉が出てきたのは、このようなアメリカの現象が、日本にも上陸をしてきたという見方もできるのだ。

 ご存知のようにコロナ禍以降、世界はプロパガンダに溢れた。中国のウイルス兵器だ、ワクチンにチップが入っている、闇の政府による人口削減計画だ……などなど、さまざまなプロパガンダがなされ、既存の政府や医療体制に不信感を抱く人も増えた。