ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間勤務しPRトップをつとめ、「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外で称された藤原淳氏が、パリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、「自分らしさ」を貫く生き方を提案したのが、著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』。著者が言うパリジェンヌとは、「すっぴん=ありのままの自分」をさらけ出し、人生イロイロあっても肩で風を切って生きている人のこと。この記事では、本書より一部を抜粋、編集しパリジェンヌのように自分らしく生きる考え方をお伝えします。
スタジオには、「凡人が最先端を生きるクリエイティブな人の仕事を邪魔しちゃいけない」、そんな空気が流れています
ミレイユが廊下を歩いてくると、見なくてもすぐわかります。とにかく声が大きいのです。彼女はすれ違う人に声をかけ、歓談をしていきます。会議は既に始まっているのですが、気にする様子もありません。
ミレイユはいつも遅れるので、会議を設定する側もそれを先読みして時間配分をしているようです。とがめる人は誰もいません。やっとのことで会議室に登場したミレイユはほがらかに挨拶をし、しばらく無駄話をしています。
そんなミレイユは広報部ではなく、スタジオに勤めています。スタジオは、ファッション・デザイナーとデザイン・チームが仕事をする場所です。そのスタジオがある階は、普通の社員はなかなか足を踏み入れることができない、聖域のようなところです。そこには「凡人が最先端を生きるクリエイティブな人の仕事を邪魔しちゃいけない」、そんな空気が流れています。
スタジオに行き来することが許されている人は、一目瞭然。それぞれにめちゃめちゃ個性的な恰好をしている、カッコいい人達ばかりです。ミレイユもそんなスタジオ人間です。
ミレイユのトレードマークはスケスケの服
ファッション・ショー、広告、プレス・デー等のイベントは、スタジオと広報部が二人三脚で進めなければ始まりません。そのためには、まずデザイナーの意図を広報部にわかりやすく説明しなければなりません。そんな難しい役回りをしているのがミレイユです。
午前中の会議に登場した彼女は、下はボリュームがあり、風船のように膨らんだ、「超」のつくミニスカートを穿き、上はブラも丸見えのシルク・ブラウスを着ています。そう、ミレイユのトレードマークはスケスケの服なのです。
スラリとしているミレイユは私など惚れ惚れしてしまうような体型です。お尻も胸も大きすぎず、小さすぎず、綺麗な湾曲を描き、まるでよく出来た絵画のようなのです。
露出度が高いミレイユですが、なぜかイヤらしい感じがしません。これは私だけではなく、職場の同僚も全く同感のようでした。人を褒めたりしないパリジェンヌですが、皆さん、ミレイユには一目置いています。ミレイユの服装を下品と批判する人はなく、「あんな身体していたら、そりゃ見せるわ」と、誰もが納得し、憧れのまなざしを向けています。不思議なことに、男性より女性の目を引くミレイユなのです。