例えば、「あのワンピースがほしい!」と思ったとき、浪費時代のわたしだったら「これくらい、いいよね! 買っちゃえー!」と即ゲットしていました。モノを買うことは、即座に喜びや幸福感を得られるからです。
でもこの本では、一時的な幸福を得られる「モノ」よりも、長く自分の幸福に影響を与える「コト(経験)」や、より「幸せを感じる時間」にお金を使うべきだというのです(原則1・原則3)。
自分に置き換えて考えてみると、ちょっといいブランドのワンピースが3万円するとしたら、「そのお金があれば、友だちとUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に遊びに行けるな」と思うと、そちらのほうが、大きな幸福感をイメージできたのです。
ただしこれは、その人の価値観にもよるでしょう。
そのワンピースに対し、単なるモノとしての価値だけでなく「好きな洋服を着て出かける経験・時間」に、大きな幸福や価値を感じる人であれば、きっとワンピースを買うべきなのだと思います。
原則2の「ご褒美にする」、原則4の「先に支払ってあとで消費する」は、支出の実感に関する原則です。ただ漫然と浪費するのでなく、買うなら「なにかのご褒美」として買うことで、支出に価値が生まれます(毎回毎回「ご褒美」にしていたら、それは浪費になってしまいますが)。
また、クレジットカードのような後払い決済は、支出の実感を見失わせます。無限にお金があるように錯覚し、浪費が加速してしまうため気をつけなければならないということです。
そして最後の原則5「他人に投資する」は、「他人のための支出は幸福感が高い」ということです。
友だちにプレゼントを贈って喜んでもらえると、自分にも喜びが返ってきますよね。
これは確かに、自己満足の浪費よりもずっと自分のためにもなる投資だと納得できます。
ちなみに、この本で得た学びから弟にiPhoneをプレゼントしたところ、ものすごく喜んでもらえました。大人になってから、姉弟でプレゼントをしあうことなどあまりなかったので、弟本人だけでなく両親ともその話題で盛り上がり、家族の思い出になるような、いい支出になりました。