就職先としてコンサル業界の人気が止まらない。給与の高さ、コンサルの経歴が転職の際に有利に働くことが他業界にはない大きな魅力だ。コンサル業界にはケース面接と呼ばれる独特の入社試験があり、総合商社や外資系投資銀行、スタートアップ企業でも実施されている。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームの入社試験に対して、現役コンサルタントや内定者の解答を集約した前代未聞の1冊だ。就活対策にはもちろん、コンサルの入社試験は思考のトレーニングにも最適だ。本稿では、前回の記事に続き「ケース面接の答え方」について、本書から一部を抜粋・編集して紹介する。
ケース面接は5つのステップを意識することで、難解な問題も自信を持って回答することができるようになります。
ポイントは、すぐに答えを出そうとしないことです。
クライアントが置かれている状況を具体的にイメージし、与えられた問題を解決するための課題を構造的に整理してから、本質的な課題に対する打ち手を具体化していきましょう。
前回記事では、ステップ1とステップ2で、課題を構造的に整理するプロセスを解説しましたので、ステップ3から見ていきましょう。
ステップ3:
本質的な課題を特定する
問題を解決するための課題は数多く存在します。
クライアントが限られたリソースの中で最大限の成果を上げていくためには、クライアントが置かれている状況を踏まえて、問題解決における本質的な課題を特定する必要があります。
仮に、さまざまな課題に対して打ち手を検討しようとすれば、面接官から「クライアントにとって、何が最も重要な課題でしょうか?」などと質問を受けるでしょう。
あるいは、面接官からの質問はほとんどなく、志願者による要領を得ない話が続き、面接時間が終了してしまう場合もあります。
この本質的な課題を特定する視点には、大きく次の3つがあります。
視点1「深層要因」
ロジックツリーの一番右に位置している原因
1つ目の視点「深層要因」は、「問題はなぜ起きているのか」とWhyを繰り返した先にある深層要因を本質的な課題とする視点です。
視点2「悪循環」
相互に絡み合い、悪循環に陥っている原因
2つ目の視点「悪循環」は、複数の課題が相互に絡み合い、悪循環となっている構造そのものを本質的な課題とする視点です。
視点3「横断的」
複数の局面で発生している、同じ内容の原因
3つ目の視点「横断的」は、たとえば「新たなサービスを打ち出せていないから、客数は減っているし、客単価も上げられていない」といった複数の局面で発生している同じ内容の原因(新たなサービスを打ち出せていないこと)を本質的な課題とする視点です。
ステップ4:
打ち手を洗い出し、優先順位を付ける
本質的な課題を特定できたら、その課題解決に向けた打ち手を検討します。
まずは、課題を解決するさまざまなアプローチやその具体的な内容を洗い出します。
面接官からも「他に考えられる打ち手はありませんか?」「こういったアプローチは検討しましたか?」などと質問されることがよくあります。
そのうえで、クライアントの限られたリソースを踏まえて、どの打ち手を講じていくべきかの優先順位を決めていきます。
優先順位付けによく使われる基準としては、「実効性(インパクト)」「実現可能性(フィージビリティ)」「迅速性(クイックネス)」の3つがあります。
すなわち、その打ち手は課題の解決にどの程度貢献するのか(実効性)、そもそも問題なく実行できるのか(実現可能性)、準備や効果の発現にどの程度の時間を要するのか(迅速性)について評価し、優先度の高い施策は何かを明確にします。
志願者の中には、クライアントのリソースには限りがあることを想定せず、ありとあらゆる打ち手を提案される方がいます。
しかし、これでは面接官はなかなか評価することができません。
自身のアイデアを客観的に評価することなく、拙速に結論を出すようなことはしないようにしましょう。
ステップ5:
提案内容を整理し、総括する
ケース面接問題では、面接官とのディスカッションや質疑応答をとおして自分が考えた課題や打ち手に対する仮説を磨いていくことになります。
面接を終える前に、
・どのようなクライアントに対して、
・本質的な課題はどこにあり、
・その課題に対してどのような施策を、
・いかに実行していくことを提案するのか
について1分程度で総括するとよいでしょう。
「最後に、これまでの検討や○○さん(面接官)とのディスカッションを踏まえて、提案内容を総括してもよろしいでしょうか」などと切り出し、ポイントを再度伝えることができれば、面接官は志願者の思考プロセスや主張を改めて理解し評価しやすくなります。
それだけでなく、他人(面接官)の意見を聴き、それを踏まえて提案内容を磨いていこうとする高い人間性やコミュニケーション能力も評価してくれるでしょう。
(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)