スポーツカー搭載を念頭に
ツインローターは縦置き

 その上で、ツインローターも登場したが、こちらもかなりコンパクトなサイズ感を実現している。しかも縦置きのレイアウト。説明文には「発電用の2ローターを縦置きで搭載することでより多くの電力供給を可能にし、低重心のプロポーションを実現したコンセプトユニット。排気量アップによるエミッションや振動の改善も狙っており、スポーツカーへの採用なども視野に入れている」とはっきり明記された。

 技術説明の質疑応答の際、筆者は取締役専務執行役員でチーフテクニカルオフィサー(CTO)の廣瀬一郎氏にいくつか質問した。

 まず、新ユニットのロータリーエンジンについては「現行の8Cがベースなのか、または複数のシングルローターを並行して開発していくのか?」と聞いた。

 8Cとは、MX-30 Rotary-EV向けに新設計したシングルローターのロータリーエンジンだ。

 筆者は昨年夏、マツダ広島本社工場で8Cの開発現場や製造現場を詳しく視察している。

 これに対して廣瀬氏は「8Cを追求することが基本。ツインローターについても、8Cをベースに開発する」とはっきり答えた。

記者会見する、マツダ取締役 専務執行役員 CTOの廣瀬一郎氏記者会見する、マツダ取締役 専務執行役員 CTOの廣瀬一郎氏 Photo by K.M.

 もうひとつの質問は、前述の富士SUPER TEC 24時間レースでの前田氏の発言についてだ。廣瀬氏としての個人的な夢の話としてコメントを求めたところ「前田(氏)に同感だ」と笑みを見せた。

 なお、今回のツインローターRotary-EVコンセプトの展示では、その両側に国際格式レーシングカーのGT3やGT4をイメージさせるようなレーシングタイヤが置かれており、これをマツダからのファンに向けたメッセージだと受け取るべきだろう。

 カーボンニュートラル燃料の実用化に向けて、マツダを含む日系自動車メーカー各社では研究開発を進めており、環境への配慮を視野に入れたロータリーエンジンを活用した次世代スポーツカー量産の可能性はかなり高まったといえるだろう。

 今後のマツダの動向を注視していきたい。