ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。ここでは、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。
ブータン王国はどんな国?
ブータン王国は、東部ヒマラヤ山脈の南麓に位置する国で、北は中国、南はインドと国境を接しています。
国土の半分が2000m以上の高地で、多くの国民がチベット仏教を信仰しています。
長らくチベットの影響下にありましたが、1907年にウゲン・ワンチュクが全土を掌握し王制を確立しました。
1910年にイギリスの保護領となり、その後1947年のインド独立に伴い外交権をインドに移管したまま独自の国家運営をするという鎖国政策を続けていましたが、1971年に国連に加盟して徐々に近代国家の体裁を整えていきました。
国民の幸福を目指す立憲君主国
1990年代末から民主社会への移行準備が進められ、2008年の総選挙、憲法施行を経て王制から議会制民主主義を基本とする立憲君主制に移行しました。
山岳小国家のブータンは、就業人口の約60%を占める農業や観光業以外に産業がなく、市場規模が小さいため、ほとんどの消費財や生産財は輸入に依存しています。
しかし、国民の幸せは経済的な豊かさだけではないとして、国民総幸福量(GNH:Gross National Happiness)という独自の考え方を提唱しています。
経済成長を過度に重視する考えを見直し、①経済成長と開発、②文化遺産の保護と伝統文化の継承・振興、③豊かな自然環境の保全と持続可能な利用、④良き統治を4本柱として、国民の幸福に資する開発の重要性を唱えています。
ブータン王国
面積:3.8万㎢
首都:ティンプー
人口:85.7万人
通貨:ニュルタム
言語:ゾンガ語(公用語)、ブムタン語、ネパール語
宗教:チベット仏教75.3%、ヒンドゥー教22.1%
隣接:中国、インド
(注)CIAのThe World Factbook(2024年6月時点)、『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)