リスク分散で今も健在の三井家
製造業トップとして君臨する豊田家

 旧財閥家では、多くの分家によってリスク分散をしてきた三井家が健在だ。NHK大河ドラマ『光る君へ』でも話題の藤原道長の子・長家(冷泉家などの祖・母は源明子)の子孫が近江の土豪となり、織田信長上洛の時、三井越後守高安(三越の語源)が伊勢松阪に逃れ、17世紀後半の高利の時、京都や江戸での基盤を固めた。

 三井十一家で一門を成し、家憲で統率され、養子縁組や婚姻も多い。総領家は北家で、財閥解体の後、若葉幼稚園などを運営する学校法人北泉学園を家業としている。

 現在は12代目八郎右衛門永乗で建築家。母の富美子は、上皇陛下のお妃候補だったが、宮内庁から打診されるも、すぐに断って、三井之乗と結婚した。松濤幼稚園(廃園)を経営していた林伯爵家の出で、大久保利通のやしゃご。若葉幼稚園の現園長は長女の大林和子(大林組創業家に嫁ぐ)である。

 NHK連続テレビ小説『朝が来る』の主人公・広岡浅子は小石川三井家の出身で、その養女が北家の夫人となったこともある。

 製造業の創業家では、豊田家が今も経営トップとして君臨している。佐吉は、静岡県湖西市の出身で、豊田自動織機を起業。トヨタ自動車は2代目の喜一郎が実質的創業者。3代目章一郎を経て、現在の会長である章男は4代目だ。

 喜一郎夫人は高島屋の飯田家、章一郎夫人は三井伊皿子家、章男の夫人は三井物産副社長だった田淵守の娘。5代目の大輔は元宝塚女優の星蘭ひとみと結婚したが、出光興産創業家の縁者のようだ。