天皇杯はまさかの2回戦敗退
筑波大に歴史的敗北

 きっかけは今月12日の天皇杯2回戦だった。筑波大学と対戦したこの試合で町田は後半終了間際に1-1の同点とされ、延長戦をへて突入したPK戦を2-4で落とす歴史的な敗北を喫した。

 この試合で町田は前半だけで2人の負傷退場者を出し、一夜明けてともに骨折が判明した。後半途中から出場した選手は足に複数の怪我を負い、「途中出場→途中交代」という事態を余儀なくされた。また、別の選手は交代枠を使い切った後に負傷し、フル出場せざるをえなかった。その代償として怪我をさらに悪化させ、戦線離脱を強いられた。

 黒田監督は筑波大戦後に「批判されるのを覚悟で言わせてもらいます」と前置きした上で、相手のプレーマナーに対して「勝ち負け以前にサッカーにおいて怪我人を出すプレーに対して、選手生命を脅かすかどうかという点も含めて、しっかりと指導してほしい」と筑波大学側へ苦言を呈した。

 さらに相手選手の態度にも、指揮官は「大人に向かって配慮が欠けるようなタメ口や乱暴な言葉であるとか、非常にマナーが悪いというか、指導や教育もできていないような一面も見られた」とまで言及。一連の黒田監督の発言を受け、筑波大の選手たちがネット上で誹謗中傷を浴びる事態に発展した。

 そうした波紋が残る中、黒田監督はリーグ戦でチームを立て直した。筑波大戦から中2日で迎えた横浜F・マリノスとのリーグ戦で、町田は3-1の逆転勝利を収めたのだ。天皇杯ショックをまったく感じさせない、圧倒的な強さを見せた。そして次のようなコメントを残した。

「天皇杯でもいろいろとあったが、町田ゼルビアは決して悪ではない。我々が正義で、言いたいことを言いながら、またはダメなものはダメと訴えながらしっかりと貫いていく。これが日本のサッカー界に必要なパワーだと思うし、そういった威厳をどんどん発信していくのが我々の存在価値にもつながってくる」

 持論を展開した黒田監督は、さらに町田に所属する選手全員の姿勢にも言及した。

「町田のサッカーをネガティブにとらえている選手もいないし、クレームをつけられるようなサッカーをしていると思う選手もいない。我々が勝つために思考してきたサッカーを全員が信じて、勝つために絶対に必要だと理解している。このベクトルがしっかり合っている、という状況が失点や敗戦からしっかりと立ち直り、勝利をつかみ取った要因になったと思っている」