織田信長のイノベーション
織田信長の大型船の革新性は、従来の木造船に鉄板や大砲という異なるものを掛け合わせて、村上水軍の焙烙火矢に対抗できるようにしたことです。
現代では革新性のことを英語で「イノベーション」と表現しますが、イノベーションを最初に唱えた経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベーションとは異なる2つのものを結合すること(新結合)」と表現しました。
信長の大型船は、従来の木造船に鉄板・大砲という異なるものを結合したイノベーションだったわけです。
イノベーションを生むために
大切なリーダーの役割
そして、このイノベーションの起点は、「従来の木造船だけでは、村上水軍の焙烙火矢に対抗できない」ことに端を発しています。これは「既存の商品・サービスでは、顧客の困りごとを解決できない」ことにも通じます。
異なるものを結合することで顧客の困りごとを解決できれば、それは立派なイノベーションとなるのです。そのときに大切なことは、リーダーのあきらめない姿勢です。
「いまの商品・サービスでは、顧客の困りごとを解決できない」という状況ならば、「じゃあ、しょうがない」とならず、まずはリーダーが「なにかいい方法はないか」と簡単にあきらめない姿勢を部下に示すことが重要です。
あきらめないこと自体が
解決への“小さな一歩”
ここで「じゃあ、しょうがない」とならないまでも、リーダー自身の思考がストップしてしまうと、その状況を敏感に察知した部下が、解決に向けてイノベーションを起こそうとはなりにくいです。
このとき、いまある商品・サービスだけでは解決できないけれども、異なるものと結合することで解決できるかもしれないと模索してみる。これが、解決への“小さな一歩”となります。
信長も、焙烙火矢に対抗する執念をみせたからこそ、新しい大型船を実現できたのです。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。