同じような商品・サービスを扱っているにもかかわらず、楽しそうにラクラクと稼ぐ人がいる一方で、思うように稼げず苦悶にあえぐ人もいる。
その違いは、年齢や経験、持って生まれた才能によって生まれているとは限らない。
稼げない人も、稼げる人と同じように努力はしているだろう。しかし、結果には大きな違いが出る。
その原因は、ほんの一語の違いにあったのだ。
その一語の違いをまとめたのが、この道25年「日本のトップマーケッター」神田昌典氏による、一番やさしい、すぐ使えるコピーライティングバイブル『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』だ。
本書では、たった一語の差で、貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」が公開されている。
今回は著者の特別寄稿から、たった一語で天国と地獄に分断される「怖さ」と、一語変えるだけで大きく現実が変わる「面白さ」を見ていこう。
否定形が習慣化した人の末路
私はこれまで25年以上にわたり、ありとあらゆるビジネス現場でさまざまなコンサルティングを実施してきた。
その中で、一見賢そうに見える人がよく発する「ざんねんな言葉」がある。
それは、本書で紹介した、法則38「否定形より肯定形の法則」にまつわるものだ。
【貧す人】できないことはできないと、はっきり否定しよう
【稼ぐ人】できないことでも、肯定的な言葉で言おう
商売の現場でも、仕事の現場でも、残念な言葉で一番多いのは「できません」と「ありません」だろう。
「否定形」か「肯定形」か、ほんの些細な違いだと思うかもしれない。だが、ほんの少しの言葉の違いが、大きな結果の違いとなって現れる。
否定形が習慣化した人の末路は、一生「貧す人」である。
顧客や相手に明確に伝えるという意味で、「できないものはできない」と否定形を使う人が多い。
だが、ビジネス現場では、否定形は確実にチャンスを逃す。
実は、否定形ではなく「肯定形」を意識すると、「代替案」を考えざるをえなくなる。
すると自然と、顧客(相手)の立場に立つことができるようになる。
売れるチャンスをつかめる人、みすみす逃す人
私が最近体験した実例を1つ紹介したい。
あるとき、私の子どもがネットでほしい自転車を見つけ、「これを買って」と言ってきた。
そこで、近くの自転車屋に電話してみた。
私:「〇〇というメーカーで、型番が〇〇―〇〇という自転車の赤色は店頭にありますか?」
店員:「あーすみません。うちでは扱ってませんね。…(無言)」
私:「そうですか、じゃあ結構です」
そこで、別の自転車屋に電話してみた。
私:「〇〇というメーカーで、型番が〇〇―〇〇という自転車の赤色は店頭にありますか?」
店員:「あー、すみません。以前取り扱っていましたが、今は取り扱っていません。
子ども用の赤い自転車をお探しでしたら、同じタイプのものが店頭に2台ありますので、一度ご覧になりませんか?」
私:「そうですか、じゃあ見に行きます」
その流れで、私は子どもを連れて、その自転車を見に行った。
そこで同じようなタイプの自転車に乗ってみたところ、子どもには少し小さくて乗りにくかった。
そのとき、店員は、
「こちらのタイプならサイズが合いますよ」
と、別のタイプを勧めてくれた。
子どもは気に入っていたが、あいにく赤色の自転車はないとのこと。
しかし、子どもは「それでいい」と、当初とは形も色も違うものを買ったのだ。
たった一語の差で、天国と地獄!
1件目は、否定形で話がすぐに途切れた。
途切れたのは話だけではなく、ビジネスチャンスも途切れた。
2件目は、1件目の店と状況は同じだったが、否定形で終わりにせず、肯定形つまり、「〇〇ならある(できる)」という形で代替案を提示したことで、ビジネスチャンスを活かした。
これと同じ例で、コカ・コーラを扱っていない店で、コカ・コーラの注文を受けたときは、「ありません」ではなく、「ペプシコーラはありますと言え」という話がある。
代替案を意識するのはカンタンそうで、意外とハードルが高いと感じることもある。
だが、否定形ではなく、肯定形を意識することで、自然と「〇〇ならある(できる)」と答えられる。
例えば、仕事の納期でも、「この仕事を10日までに完成させて」という依頼に対して、「できません」「無理です」ではなく、「12日なら完成できます」と肯定形で答えられる。
極力否定形は使わないほうがいいが、難しいときは、先ほどの2件目の例のように、「否定形で終わらない」ことを意識するといい。
納期の例でいうと、「さすがに10日は難しいです。でも、12日なら完成できます!」と答えるのだ。
このように、ほんの少しの言葉づかいの違いで、天国と地獄ほど違うことがある。
そんな、たった一語の比較を、貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」としてエッセンスを凝縮したのが、『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則』である。経営者や管理職だけでなく一般社員の人にも参考になるかもしれない。
(本稿は『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』の著者による特別寄稿です)