食用油は生活に密着した必需品だけに
国民の怒りと不信感が高まる
中国では一般的に、野菜を生で食べることは少なく、油で炒めて食べることが多い。日本と比べると、料理を作るときに多めに油を使うので、スーパーでも油は5000ml入りのペットボトルで売られていることが多い(日本は600~1500ml入りが多い)。中国人にとって食用油は生活に密着した必需品であり、それだけに今回の問題は国民に大きな衝撃を与えた。特に問題の中心となった天津中儲粮油脂有限公司は、国が委託する中国最大の食料備蓄の運営と管理を担う大手国有企業「中国儲備糧管理集団有限公司」の子会社であることが、さらに国民の怒りを煽った。
SNS上では、「これは毒殺とどう違うのか?立派な犯罪だ!」「誰を信じれば良い?国有企業がこんなひどい管理をしているなんて……『社会的責任を果たす』というのは口だけなのか?」といった怒りの声があふれた。一方で、「地溝油※、毒粉ミルク、注水肉※、毒生姜、今度は石油混合食用油。あれこれ食べても死んでいないし、段々と免疫力が高まってきた」という自虐的な書き込みも見られた。
※地溝油は、飲食店の厨房の排水口などにたまった廃食用油を加工したもの。注水肉は重量を増すために水を注入した肉のこと。